昨日の私はチキンでしたよ。何しろ昼飯を食べたら布団を敷いて寝ちゃいましたから。
何故かって? オリンピックですよ。フィギュアスケートのペア。フリープログラム。長野の時から見てきたあの二人が金を取れるかどうかって運命の瞬間。リアルタイムで見る根性が無かった。「きっと目が覚めたら奴らが金を取っているさ。」と呟いて意識を失いました。
申雪と趙宏博。西暦2000年代のペア競技はこのチームを中心に回っていたと言って問題無いでしょう。若いときのパワーと身体能力に任せた演技から、ソルトレイク大会を経て、表現力もコンビネーションも兼ね備えたスーパーチームへの脱皮。2003年世界選手権の伝説の「トゥーランドット」。トリノシーズンの故障、氷上プロポーズ失敗事件(笑)。そしてまさかの競技会復帰と、4度目の挑戦でのオリンピックタイトル獲得。私が最も好きなフィギュアスケートの選手がこの二人なんですよ。
今でも思い出すのが、ソルトレイク大会のフリープログラム直前、氷上に出て行く二人の後ろ姿ですよ。ベレズナヤとシハルリドゼ、サレーとペルティエの歴史的な対決の直後。最終滑走。趙宏博がリンクを見つめたままさっと右手を出すと、申雪もリンクを見つめたまま趙宏博の手に左手を重ねた。挑戦者という言葉があれほど似合う光景は滅多に見られません。
そして今回。最後の戦いの場に現れた彼らは、あれは何と表現すれば良いのでしょうか。妻の掌を笑顔でパチっと叩いてリンクに飛び出していった趙宏博の姿。お互いの思いとかこれまでのチームの歴史とか二人の信頼関係とか、ありとあらゆるものが詰まった一瞬。しびれましたね。
演技ではまさかのリフト失敗、コンビネーションスピンの乱れがありましたが、プログラム・コンポーネンツにずらりと9点台を揃えてカバー。オーラが違いました。演技終了後の観客のスタンディング・オベーションは、この演技に対してというよりも、ペア競技史上最高のチームの18年間のキャリア全体に対する賞賛と祝福を表していたように思います。
これにて本当にもう、競技会の場でやり残したことは何も無いでしょう。次は子作りだそうですが・・・・この二人の子供は途轍もない選手になるでしょうね。男だったらプルシェンコ級、女だったら浅田真央級の。