天寿

 ロードレーサーのフレームが天寿を全うしました。

 先週、檜原村に走りに行った時に多摩川サイクリングロードの穴ぼこにガツンと落ちた時だと思うんですが、トップチューブとダウンチューブが歪んでしまったんです。クローム・モリブデン鋼のフレームなのでアルミやカーボンのように一気にぼっきりいくわけでもなく、実はその後も100キロくらい走ってるんですが(檜原村からの戻りは平均35キロ以上で踏み倒してたりして)。

 高1の冬休みにお年玉をはたいて買ってからちょうど22年。積算距離は不明ですが、1万キロ以上2万キロ以下のどこかだと思いますね。自転車部で当時「青少年公園」と呼ばれていた、後の愛知万博会場に毎日走りに行っていたのもこのフレームですし(アウター52Tにインナー42Tでリアは12-23Tの6速などという、21世紀の常識から見ると超絶バカな重いギアリングでした)、箱根を越えて名古屋から横浜までツーリングしたこととか、学生の頃、つきあっていた女の子に会いに川越街道を走っていったこととか、思い出はつきません。

 このフレームで越えた峠はどれだけあったでしょうか。

 日坂峠 箱根峠 大垂水峠 和田峠 松姫峠 鶴峠 梅の木峠 二つ塚峠 梅ヶ谷峠。

 他にもまだまだあったと思います。よく頑張ってくれました。結局、このフレームで大落車というのは一度もしませんでしたね。立ちゴケを2回しただけ。それでフレームが歪むまで乗り潰したんだから、寂しさと同時に誇らしさも感じています。購入当初に付いていた部品で最後まで付いていたのはシートポストを締め付けるボルトとナットだけでした。他のありとあらゆる部品を交換して乗り続けたフレームでした。事故で廃車にすることなく最後を看取った初めてのフレームでもあります。

 今、空前のロードバイクブームと言われていますし、今日もロードバイクが何十台も駐められたコンビニの駐車場を何カ所か通り過ぎました。出来ればあの全てのロードバイクが、オーナーの愛に包まれて天寿を全うして欲しいと思います。