琵琶湖の航海カヌー

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 ご無沙汰しております。夏休みなので家族旅行中でございます。

 色々と面白いものを見てますよ。それらはおいおいご紹介していく予定ですが、とりあえず旅の空からご報告するのは、日本最大の淡水面、琵琶湖で発達した独特の航海カヌーです。

 その名を「丸子船」と言います。名前の由来ははっきりしませんが、丸太を二つに割って両方の舷側に1本ずつ貼ったからだとか、船体が和船にしては異様に丸っこいからだとか、言われているそうです。

 私が見てきたのは滋賀県北浅井町にある「丸子船の館」の個体。江戸時代から昭和30年代まで使われた丸子船の、ほとんど最後の1個体というくらいのものだそうです。時代が時代だけに、最終的にはエンジンを積まれていた個体のようですが、ちゃんと帆も残っていました。ムシロの帆ではなく帆布の帆です。丸子船が登場した時代にはムシロの帆が一般的だったそうですが、大坂の業者が開発した帆布が一世を風靡して、完全にそれに切り替わった。そのオリジナルの帆布の最後の1枚が残っていたのを、借り受けて展示してあるとか。

 いや、それにしてもでっかいですよ、この船。喫水線長はホクレアと同じくらいあるんじゃないですかね。米を百石積んで琵琶湖の北端の大浦から大津や近江八幡あたりまで丸2日で行ったそうです。つまり北陸や東北の日本海側で獲れた米を敦賀や小浜まで運んで、そっから琵琶湖まで運んで京や大坂に運んでいたわけですね。

 それで私が感心したのは、丸子船独特の例の構造ですよ。丸太を割って左右の舷側に貼るというやつ。こうやって左右の浮力を稼いでいたそうなんですが、これって実はダブル・アウトリガー・カヌーの一種なんじゃないですかね? 荒木さんが最近沖縄で使っているあれですよ。船体から左右に腕木が出て、浮子が付いているあれ。あの腕木が無くなったら、丸子船じゃないですか。

 実は日本列島の伝統的船舶の中でも、一番アウトリガーカヌーに近づいたのがこの丸子船なんじゃないか。そう思ってます。

(画像は丸子船の舷側部分。船首の周辺には鋼板がベタベタ貼ってありましたが、これも丸子船の特徴だそうです)