謎のバケツ軍団の秘密

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寄港したホクレアを見に行かれた方なら、気になっていたのではないでしょうか。
クルーが揃いも揃って持ち歩いているあのバケツ。あまりにも当然のような顔をして持ち歩いているので、うっかりすると見逃してしまうかもしれませんが、冷静に考えると変ですよ。どう見ても変。

そこで昨日はマイク・テイラー船長にバケツについて質問してみました。

「船長、そのバケツは一体何なんですか? みなさん持ち歩いてらっしゃいますが。」
「加藤、それは良い質問だ。バケツについては非常に興味深い物語がある。5分間時間をいただければ解説して差し上げよう。」
「船長、是非お願いします。」
「よろしい。良いか、このバケツは本来、船団の食料が入っていたものなのだ。クッキーだな。クッキーが入っていたのだ。」
「言われてみるとそんな気もしてきます。」
「さて、船団の食料はコックが管理しているのだが、中身を食べ終わって空になったバケツは船長のものなのだ。」
「なるほど。」
「そして、良いか、船長は普段からクルーの働きを注意深く観察していて、働きが良いクルーから順に空いたバケツを下賜するのだよ。」
「つまりバケツはご褒美というわけですか?」
「そうだ。というのも、航海中このバケツほど重宝するものは無いのだ。船の上は常に水気との戦いだが、このバケツはこうやって密閉出来るから、大事なものはここに片っ端から突っ込んでいけば良いのだ。しかも、このバケツは船団のクルーのシンボルだから、どこの寄港地でもこうやってバケツを持ち歩いているだけで、ああ、彼はホクレアに乗って来たんだなと判る。目印になるわけだな。」
「たしかに便利なものですね。」
「それだけではないぞ。ほら(といって桟橋の上にバケツを置いて座ってみせる船長)。このバケツは椅子にもなるのだ。」
「すごい!」
「このバケツの価値が理解出来たようだな。」
「目から鱗が落ちました。ところで船長、カマ・ヘレのコックを務めておられたのは確か・・・ジェームス・・・。」
「ジェームス・ハディだ。」
「HADDEと書く。」
「その通り。」
「しまった。私はジェームス・ハッドと訳してしまいました。」
「問題無いよ。」
「問題無いんですか(笑)。私も料理をしますから、ハディさんにはお会いしてみたかったんですがね。」
「彼も日本まで来るつもりだったんだが、時間切れでハワイに帰っていったのだ。だが加藤サン、もしも貴殿が料理を愛する人間なのであれば、悪いことは言わない、彼と料理について語り合うべきではない。」
「といいますと?」
「彼の料理の腕は最低なのだ(笑)。加藤、私はこの航海で13キロも痩せた。これは彼の料理のおかげと言って良い。おっと、これはブログに書いてはならんぞ。」
「大丈夫ですよ。日本語で書きますから。」
「いかん、奴は日本語も読めるはずだ。」
「(本当かよ・・?)でも奥様は喜んでおられるのでは?」
「妻は私が痩せたことを喜んでいる。問題はいかにしてこの体重を保つかなのだ。」
「ハディさんをコックに雇われては?」
「それも一案だな(笑)。」

いかがでしょうか、マイク・テイラー船長のお話。当たり前なのかもしれませんが、船長クラスの方々は皆さん、とても話がお上手なんです。中でもマイク・テイラー船長はユーモアという点で傑出してますね。奥様にも色々と話を伺ったのですが、それはまた別の記事で。

3枚目の画像はビデオクルーとして長崎辺りから横浜まで乗船して来られた吉田さんのバケツ。スカイ・タケモト君のメッセージが入っていますね。これは記念品として家に飾っておくつもりだそうです。