ヴァカ・タウマコ号の処女航海動画

 ソロモン諸島国の域外ポリネシア「タウマコ島」で1998年に建造された航海カヌー「ヴァカ・タウマコ」号の処女航海を撮影したストリーミング動画を見つけました。

http://www.archaeologychannel.org/content/video/VakaTaumako300K_W.html

 17分近くあります。今日の昼ご飯のお伴にいかがでしょうか。

 改めてこの船についてご説明しておきますと、この「ヴァカ・タウマコ」号は現在の航海カヌー文化研究において、最も注目を集めている船ということになります。ベン・フィニー、リチャード・ファインバーグという両大家が調査に加わっていると言ってもわかりにくいでしょうか。ベン・フィニーは30年前にホクレアを作った研究者です。リチャード・ファインバーグは航海カヌーに関する研究所を2冊ほど書いている大御所です。たしか今現在、ベン・フィニーはタウマコ島に居るような噂を聞きました。

 何故この船が注目を集めているのかも、もう一度整理しておきましょう。

 「古代ポリネシアの航法術・航海カヌー建造技術を現在まで継承しているほぼ唯一のコミュニティの船であること」

 例えば本来、ポリネシアの航法カヌーが帆に使用していたのはハラの葉を編んだ「ラウハラ」という素材でしたが、これは結局ポリネシア航海協会は再現出来ませんでした。しかしこの船の帆、この動画に映っているこの帆はなんと「ラウハラ」なんですよ。

 航法術についても同様のことが言えます。『星の航海術をもとめて』を読んでいただければわかりますが、ナイノア氏の創出した現代ハワイ式航法術は、西洋天文学と科学技術を再身体化したものです。つまり、プラネタリウムや天文書というモノとして人類が保持している知識を、航法師のカラダに再転写したものがナイノア流ウェイファインディングの核にあるわけです。これはこれで凄いものなんですが、古代ポリネシアの航法術とは別物であって、研究者やマニアは古代ポリネシアの航法術にも興味を持っている。

 その古代ポリネシアの航法術に最も近いのが、この「ヴァカ・タウマコ」号で用いられている航法術なのです。