4巻1章。のっけから大訳注大会になっております。どうするんでしょうねえ。これ、「無いとお話がわからない訳注」「あるとお話の面白さが俄然増す訳注」が混在していますが。O内の苦悶の表情が目に浮かぶ。
さて。例によって「誰だよお前」的な登場人物の素性調査に1時間かかりました。今回のターゲットは「Lexte伯爵」なる人物。イングランド人らしいです。でもこんな名跡、イングランドには無いんだよねえ。
手がかりはこの人物の所行でした。1625年にイングランドとオランダの大艦隊を率いてカディスに攻め寄せ、大敗北を喫して追い返されたという。この規模の戦いを架空で作ることはしないレベルテの旦那ですから、まずこの戦いは実際にあったはず。
調べてみたらありました。1625年8月、いつぞやのマドリッド訪問が空振りに終わったのをま~だ根に持っていた海軍卿バッキンガム公爵がゴリ押しして、1万の大軍をカディスに送り込んだんですねえ。この時の大将はエドワード・セシル。ウィンブルドン子爵。
ウィンブルドン子爵? Viscount Wimbledon?
Lexteなんて文字列はありまへんな。
こういう時は親兄弟を洗います。というのも、ヨーロッパの大貴族はメインの爵位以外にも、ちんまい爵位を山ほど持っているものなんですよ。そういうのを親兄弟から引き継いでいるのかもしれませんからね。
まず父親を当たります。いきなり真っ黒なネタが上がりました。エドワード・セシルの父親はトマス・セシルと言って、初代エクゼター伯爵。Earl of Exeter。ofを除去したらeaLEXTEr。見事にLexteの文字列が浮かび上がります。
ただ、この伯爵位はエドワードではなく、その兄ウィリアムが継承しているので、エドワードはエクゼター伯爵ではなかったし、その後もエクゼター伯爵にはならなかったんですね。
とはいえ。犯行状況から考えてLexte伯爵の正体は「ウィンブルドン子爵エドワード・セシル」であることはほぼ確定。レベルテの旦那が爵位を間違えているという線でまず間違い無いでしょう。
あ、また訳注が増えちゃった。俺のせいじゃないからな。