ヤクザ映画を見たことは無いんだけど

 私のとこでは3巻の作業がゴールイン直前です。

 結局、最初から最後まで戦闘戦闘ひたすら戦闘に明け暮れた巻でした。そしてイニゴくんの地獄巡りは今巻でも快調に続くと。

 ストーリーのわかりやすさという点では、2巻や1巻の方が上だとは思います。でも、この巻好きだなあ。

 (ここより先にもネタバレはありませんが、読む前に他の人の解釈に触れたく無い方は引き返してください)



 隊長とイニゴくんの関係という点に焦点を絞った場合、2巻では師弟愛、そして3巻では・・・・・これは何と言うんでしょうね。もちろん二人の絆は固いのですが、いよいよ大人への階段を上り始めたイニゴくんと、それを心配しつつも不器用に見守る隊長という感じ。

 むしろ、3巻で一番重要なのは、イニゴくんの内面の変化であり、それに伴う隊長との関係の変質なのではないかという気もしています。表面的なストーリーは、ひたすら戦闘に明け暮れていて、もちろん中盤と終盤に特に凄まじい戦闘はありますけれども、起承転結あるいは序破急が明解にはなっていない。ですが決してつまらないお話ではないですね。

 レベルテの旦那がラノベを書こうとしたのであれば、これは絶対にやらなかった物語作法だと思います。ラノベでこれは前衛過ぎる。ですが、伝統的な近代文学として見ると、極めてオーソドックスな物語のように私は感じましたね。一人の少年のビルディング・ストーリーを、特に内面の変化に焦点を絞って描く。

 隊長への共感や崇拝と疑問との間で揺れ動くイニゴくんが、この巻の最後で何を見たのかは、出版されてのお楽しみ。いやあ、最後、隊長格好いいですよ。3巻まででは一番格好いいと思いましたね。

 見たことは無いんですが、高倉健のヤクザ映画ってこんなのだったのかな、と思いました。