一人減らして註を足した。良くあることさ。

 昨日は久しぶりに大学に呼び出されていたので仕事は一切無しでした。ですからこれは一昨日の戦果。

 訳文がうちに来た段階で、「ブレダの開城」に登場する有名なひとは「スピノラ将軍、ジュスティン、ノイブルクの皇太子、ドン・カルロス・コロマ、エスピナル侯爵・・・」などとなっておりました。
 
 ここでの私の仕事は、まず個々の人名を調べてより適切な表記が無いかを調べることです。スピノラ将軍はオッケー。ジュスティンはスペイン風にジュスティノに変更。ドン・カルロス・コロマって誰だかわからないので調べたら、割と有名な外交官でした。結構偉い人で、エスピナル侯爵位を持っているそうです。ん? エスピナル侯爵ってもう一度出てこないか? ここは取りあえず二人を合体させて「エスピナル侯ドン・カルロス・コロマ」に変更しつつ、O内に原文確認を要請するコメントを足します。

 それから皇太子って誰よという話になります。そもそもノイブルクって何だというべきか。手がかりは「ノイブルク」です。色々調べた結果、16世紀初頭にファルツ選帝候家であるヴィッテルスバッハ家から分家した家が「ファルツ=ノイブルク公爵」という爵位を持っていたことがわかります。この家は17世紀中葉の本家の断絶に伴ってファルツ選帝候を継承する、結構重要な家です。所領もファルツにあるから、フランドルのお隣さん。

 しかし、このファルツ=ノイブルク公爵からどこぞの王位を継承したという話はありません。ということは、prince of Neuburgのprinceは「皇太子」ではなく「公爵」に訳すのが正解でしょう。ということでこれは「ノイブルク公」に修正。

 そして「カルロス・コロマ」「ノイブルク公」についての訳注を挿入。

 わずか3行ほどの訳文の裏を取るのに2時間かかりました。いかに儲け度外視かということがおわかりいただけるかと(涙)