登録商標ホクレア

 最近ちょくちょく見かけるようになった言葉にLohasとかロハスとかローハスというのがありますね。もともとはアメリカの社会学者が考案した「Life of Health and Sustainability」という概念の略語で、専らマーケティング用語として使われているようです。ちょっと前までは「エコ」とか「地球に優しい」というキャッチフレーズが用いられていた、微妙に環境保護意識をくすぐる商品がイメージさせる生活様式のことです。それで、そういったイメージをまとった商品をロハスな商品と呼び、そういったものを買ったり使ったりすることを好む人々をロハスピープルと呼ぼう。

 大まかにいえばそんなような文脈で出てきた言葉ですね。これに目を付けたのが、もともとマガジンハウス社で『ブルータス』なんかの編集をしていた目黒一三さんという方。この方はマガジンハウスから独立して、ファッションとしてのエコをキーコンセプトにした雑誌『ソトコト』を作ったんですが、イタリアのスローフード運動なんかに続いてアメリカでロハスというのが出てきたというのを紹介した。紹介したというか、雑誌のコンセプトを完全にロハス一本に絞って、勝負をかけた。

エコ・マガジン「SOTOKOTO」編集長・小黒一三さんを訪ねて

 私は売り上げとかようわからんですが、どうやらこの勝負が吉と出たようで、ロハスというのが流行語として採り上げられるようになった。それが今年くらいの話です。

 まあ、ここまでは良くあるお話ですね。

 ところが、今週日曜日(11日)付の日経新聞に、実はこの『ソトコト』が三井物産と組んで「ロハス」を片っ端から商標登録していて、他の会社がロハスという言葉を使って商品を売っているのをこれから警告書とか送って排除していくんだという記事が出た。

 やりますねえ。まあもともとマーケティング用語として出てきたもんで、ゼニカネの問題とは切っても切り離せないのがロハスなんですけれども、自分たちが考えたわけでもない言葉を商標登録とは、いかがなものか。せめて考案した社会学者には仁義切れよな(笑)。

 といったところで、私も早速調べてみましたよ。あれ。「ホクレア/Hokule’a」の商標登録状況。今は特許庁のウェブサイトで簡単に検索できますからねえ。そうしたら、5件が「ホクレア」で商標登録されていました。

1. 登録4614949 ホクレア\Hokule’a
2. 登録4614950 ホクレア\Hokule’a
3. 登録4619121 ホクレア\HOKULEA
4. 登録4656944 ホクレア\Hokule’a
5. 商願2005-081690 HOKULE’A\ホクレア

 このうち3件は萱場博史という人が2001年10月4日に出願したものです。貴金属製品やアクセサリー、キーホルダー類の商標、服の商標、かばん類の商標。早い話がホクレア印のバッジやTシャツ、バッグなんかは国内では萱場博史さんに独占的な権利があるよということ。萱場博史さんはJRAの馬主でホクレアという冠号の馬を何頭か走らせていますんで、その関係「も」あるんでしょう。
それから大和ハウスがブライダル関係の商標。たしかホクレアとかいう結婚式場が四国にあったはずなんで、その商標でしょうね。
それと株式会社トロピコリタンという、ニック加藤さんを彷彿とさせる名前の会社が今年の8月18日に2件を出願していますね。テレビゲームやレコード関係の商標と、写真関係の商標。株式会社トロピコリタンという会社は「トロピコリタン」でも商標を取得しています。

 まあ商標登録早いもん勝ちなんで、止める権利は誰にもないわけですが、唯一私が心配しているのは、ホクレア号が日本に来たとして、PVSがホクレア印のマーチャンダイズ商品で多少なりとも費用を調達する道が閉ざされはしないかってことですね。ホクレアという言葉がこれだけ価値あるものになったのは、明らかにPVSとホクレア号に実際に関わって来た人々の功績ですから、そういうものを掠め取ろうとする人が日本にいないことを願うばかりです。もちろん商標は登録された後でも異議申し立てが出来ますし、特許庁が示している不登録理由のうち、

国、地方公共団体若しくはこれらの機関、営利を目的としない公益団 体あるいは営利を目的としない公益事業を表示する著名な標章と同一又は類似の商標(第6号)
他人の肖像、氏名、名称、著名な雅号・芸名・筆名等を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)(第8号)
ここでいう「他人」とは、内外人の如何を問わず現存する自然人及び法人を指します。
需要者の間に広く認識されている他人の未登録商標と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の商品(役務)について使用をするもの(第10号)
「需要者の間に広く認識されている」には、最終消費者まで広く認識 されているものだけでなく、取引者の間に広く認識されているものも含まれ、また、全国的に認識されているものだけでなく、ある一地方で広く認識されているものも含まれます。

あたりにひっかかる可能性も小さく無いとは思うんですけどね。ただ、PVS、商売はド素人というかド素人以下みたいな人たちですから・・・・・不安だな・・・・・。

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ええと、詳細は伏せますが、「トロピコリタン」の商標出願については、心配する必要は一切無いということがわかりましたので、追記しておきます。