west2723さんの所にポリネシア航海協会とハワイ日本文化センターが出した声明の原文が出ました。ただし英語ですが。
ざっと日本語に直してみました。
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私たちの世界は、今日、ますます危機的な状況に陥っています。人々は、民族や宗教、国境線によって分断されてしまっているのです。そのような中、私たちは、我々を繋ぐ遺産、文化、そして伝統に目を向ける必要性を痛感しています。我々は、人々の間に友愛を育みたいと願っています。究極的には、それこそが、世界平和と未来への希望をもたらすものだからです。
今回、ポリネシア航海協会とハワイ日本文化センターは、我々の歴史を顕彰し、また我々の願う未来を手に入れる為、航海カヌー「ホクレア」をミクロネシアおよび日本へと航海させる事になりました。
航海の期間は2006年1月から7月を予定しています。この航海はミクロネシアとポリネシアにおける人類拡散とそれを可能にした遠洋航海技術に敬意を表し、ハワイの文化的多様性を祝福し、また日系ハワイ移民がハワイにもたらした貢献を讃え、さらにはミクロネシア、日本、ハワイの人々の間の相互理解を促す事で世界平和を押し進めようという意図を持っています。
そして私たちは、ミクロネシアとポリネシアの伝統的航海術による航海を行う事で、過去から継承された遺産への誇りを育んでいきたいと考えています。また日本からハワイへと移民した人々に注目する事は、私たちの祖先に敬意を表し、これを褒め称えるものです。さらに、異なった文化を持つ人々の融和を祝福する事で、民族や文化的背景が違っていても、価値観を共有し、しかし自らを失わずに共存していけるのであると、世界中に示す事が出来るでしょう。
航海カヌー「ホクレア」は1975年に進水しました。この船は、ポリネシアの人々に、彼らの祖先が地球上で最も広大な空間を制覇した人々であった事を知らしめるという夢が実現したものでした。
30年後の今日、伝統的な航海カヌーの文化は現代世界の中にしっかりと根を下ろし、成長を続けています。ホクレアはこの素晴らしい成果を体現するものであり、また希望の象徴であり、さらには過去からの学びを望ましい未来へと繋げていけるかどうかの試金石なのです。
30年の間には様々な事がありました。ホクレアは、私たちが太平洋の島々を次々に結んでレイを編み上げ、単に共通の祖先を持つというだけではない、共通の目的と価値観をともにする家族を創り上げてゆく為の力を与えてくれました。たしかに私たちは過去を共有していますが、また同時に、私たちと私たちの子供たちの為の未来を掴もうという、共通の意志によっても結ばれているのです。これからホクレアが辿る祝福の航海の出発点には、希望と夢が置かれています。
実際のホクレアの航海では、日本において教育プログラムを実施し、また最先端の機器を駆使して、世界中の子供たちとその家族が、殆どリアルタイムでこの航海に参加出来るようにもする予定です。なお、この航海はカアカウア王の日本訪問125周年、官約移民開始120周年、ホクレア進水30周年を記念するものでもあります。
この航海において私たちは、歴史的な繋がりに基づいて、新たな関係を創造していこうと考えていますが、これはまた、伝統的な航海技術によって航海を続ける事で祖先を顕彰していこうという、私たちの意図にも沿うものです。ホクレアの航海士たちは、星々に従い、自然から得られる手がかりだけを頼りに進路を決定していきます。これまでホクレアが用いてきた、ウェイファインディングと呼ばれる天文航法が、今回のミクロネシア・日本航海においても使用されるのです。
私たちの祖先が残した技と方法を用いて海を渡る事で、私たちが訪れた土地の伝統文化もまた発展していく事を願っています。