Hana Hoe! 2005/2-3月号
ハワイアン航空の機内誌『Hana Hou!』の最新号で、カヌー工房が採り上げられています。
工房の名前は「Friends of Hokulea and Hawaiiloa」。なんじゃそりゃというくらいストレートなネーミングですね。この工房はもともとハヴァイロアの船体を制作したライト・ボウマンJr.が、木製カヌーの製作技術を若者達に教えたいと考えて設立を検討していたものなんだそうです。
ところがライト・ボウマンJr.は1997年に他界。そこで彼の遺志を継いでビリー・リチャーズ(ホクレアでの航海の経験もあるカヌービルダー)が設立したのが、通称「Friends」です。記事によれば、現在ハワイ諸島に残されている木製カヌーは1000艘弱で、クック来航時の約1/3。しかもその多くはコンディションが悪く、放っておくと朽ち果ててしまうのだそうです。一方、ハヴァイロア建造時に明らかになったように、もはやハワイのコア材は払底しており、仮に全てコア材で新造するとなると、45フィートクラスのアウトリガー・カヌーで8万ドルから12万ドル。まあフェラーリが買えるお値段ですね。要するに現実的じゃない。
これは二つの事を同時に意味します。
・現状を放置すれば、コア材の伝統的カヌーはこれから減りこそすれ、増えることはない
・現状を放置すれば、材料が無い以上、伝統的なカヌーの製造技術は失われる
そこでビリー・リチャーズが取り組んでいるのが、オールドのカヌーのリペアやリビルドなのだそうです。材が傷んでいれば別の材を足してやる。そこまでしなくても良い物はきちんと再仕上げをしてやる。場合によっては何割という割合でオリジナルの材を置換してしまうらしいのですが、それでもやる意義は充分にあると考えておられるそうです。少なくともカヌーはカヌーとして残り、職人を育てることもできますから。
昨日紹介した新造船ホクアラカイもビリー・リチャーズの工房が協力して建造したそうです。
日本でも、放置すれば失われていく職人技術が沢山あります。一度機会がありましたら、池袋東武百貨店にある伝統工芸品館を尋ねてみてください。
私も色々とモノを消費してきましたけど、結論として良い物はやはり良いという考えに至りました。多少高くてもしっかりした作りのものを買っておけば、もちろん機能は安物とは大違いな上に、長い間使用出来ますから、コストも大して変わらない。
要するに、職人芸の保存と環境保護という一石二鳥が成立するわけです。
あ、それとハワイの伝統的な木製カヌーを買いたいというのであれば、「Friends」に直接ご連絡を。
Friends of Hokulea & Hawaiiloa
Sand Island Access Road Pier 62, Honolulu, HI 96819 (808) 843-8414
それにしてもこの号、欲しいなあ。
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