『ズニ族の謎』精読(概要紹介)

 日々支離滅裂なネタを提供しているこのウェブログですが、これから新シリーズを一つ始めたいと思います。テーマは『ズニ族の謎』という本です。
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 まずこの本の概要について説明しましょう。これは筑摩学芸文庫で昨年出た分厚い研究書です。原著を書いたのはナンシー・Y・デーヴィスという人類学者。シカゴ大でMA、ワシントン大で人類学のPh.Dを取得しています(そういえば私の知り合いにもワシントン大で人類学のPh.D取った先生が居るな)。現在はアラスカで研究を続けておられるようです。もうかなりのお歳(1936年生まれ)のようですね。

 翻訳を手がけたのは吉田禎吾さんと白川琢磨さん。吉田さんは東京帝大卒の文化人類学者で、白川さんは慶應の博士課程修了の文化人類学者です。

 この本の主張を一言で書けば「14世紀、日本から太平洋を船で越えて北米先住民のズニ族の集団に加わった人々が居たのではないか」というもの。14世紀というと室町時代ですね。デーヴィスは足利尊氏の時代にズニの集団に日本からの「巡礼」が到達したと考えています。
http://www.eonet.ne.jp/~muromach/
 
 さてこの本、まずはきちんとした学術書としてのルールに則って書かれているという点、訳者のお二人も、主張に弱い部分や論外な部分(だいたいこういう研究は語呂合わせで「双方の言葉が似ている」という事例を並べるのですが、訳者は真っ先にそのような著者の記述を批判しています)はあるけれども、基本的な構想は注目すべきと評価している点などからして、じっくりと考えてみる価値があると思いましたので、このウェブログでもシリーズとして紹介していく予定です。

 北山耕平さんという方がこの本について書いておられるウェブログがありますので、トラックバックを設定しておきます。