増田義郎さんという歴史学の大家が書かれた新書です。集英社新書として最近発売されました。第1章で、バルビディア土器と縄文土器の関係を主張しているメガース氏との出会いや古田武彦氏の来訪など、バルビディア土器問題を巡る人々の動きが、増田さんの回想という形で綴られており、面白いです。増田さんは江上波夫さん(騎馬民族による日本征服説で有名な古代史研究者)と一緒にメガース氏に会いに行って土器を見たのですが、メガース氏の考えには賛成しかねると指摘したが無視されたとか、その後、古田氏から接触があり、古田氏の「魏志倭人伝の黒歯国は南米にあった」説を提示されて、やはりその弱点を指摘したけれども無視されてしまったとか。
2章移行は近世以降の太平洋探検・植民史になりますが、こちらも非常に面白いです。太平洋が決して名前の通り平和なだけの海ではなかった事が良くわかります。