思わぬ場所に火の手が

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 ナイノアさんが来年の日本航海を断念した理由の一つとして囁かれているのが、カメハメハ校裁判です。

 カメハメハ校というのは、ハワイを代表する私立の学校で、先住ハワイアン系の人間以外は入学出来ないという規則で有名なのですが、これは人種差別だと主張して裁判を起こした家があったんですね。一審は昨年11月に判決があり、カメハメハ校側が勝訴しました。ところが8月2日に出た二審判決では、逆に原告側が勝訴してしまった。

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 原告の主張は

・カメハメハ校は先住ハワイアン系の人間以外も受け入れること
・自分を入学させること
・損害賠償金を支払うこと

 最後の一つがセコいなあと思いますが、アメリカ人は訴訟を宝くじかと勘違いしている節もありますから、まあ「想定内」。カメハメハ校といえば超リッチな学校で有名ですから(ワイキキ一帯の大地主らしい)、裁判所が無茶な金額を言わなければ、賠償金自体は痛くも痒くも無いんでしょうが。

 カメハメハ校側はこの判決に対しすぐさま異議申し立て。最終的には最高裁まで徹底抗戦すると表明しています。先住ハワイアンのコミュニティもかなり熱くなっているようで、抗議デモも行われているみたいですね。

 ともかく、これでカメハメハ校の理事を務めているナイノアさんも、対応に忙殺されることになったようです。少なくとも現在の訴訟が終わるまでは(最高裁への上告は99%が棄却されるので、次が事実上の最終決戦のようです)動けないでしょう。

http://starbulletin.com/2005/08/03/news/story1.html

 ナイノアさんもこの判決については「極めて失望した」そうで、「この判決はハワイにとっても先住ハワイアンにとっても望ましくないが、我々は徹底的に戦うし、必ず勝利することが出来ると信じている。」とコメントしておられます。

 難しいのは、カメハメハ校がもともとハワイ王朝の末裔によって設立されていること、カメハメハ校はお金持ちなので政府からの補助金を一切受け取っていないこと、先住ハワイアンが一般的に言ってハワイ社会では貧しいことなど、事態をややこしくする要素がいっぱいあるってことですね。マイノリティの問題を考える時にいつも議論になるのが「マイノリティに市民としての完全な権利を与える」のか、「マイノリティは構造的に不利な状況にいるので、多少有利になるように取りはからうか」です。

 以前のアメリカだと「アファーマティヴ・アクション」といって、マイノリティ優遇政策が色々とあったのですが、最近だとこれが人種差別にあたるとして裁判で負けがちなんですよ。アメリカはブッシュ政権になって明らかに保守化しましたからね。カメハメハ校裁判二審判決も、保守への揺り戻しの一つと見れないことも無いでしょう。

 ともかく、この騒ぎがハワイ社会に民族対立を引き起こすようなことだけは無いように願いたいですね。