アイヌに興味無いんです。

 今日は自由が丘の「ギャラリーるなん」で開催中の結城幸司・平田篤史二人展に行ってきました。学生も一人付いてきた。この学生、「アイヌに興味無いんです!」と断言する奴で、そいつを結城幸司に面と向かって言ってやれ絶対面白いからと無責任に煽ったのが私です。

 結論から言いますと、2時間後にこの学生は結城さんの新作を(私にカネを借りて)買ってました。しかも一万円札複数枚が吹っ飛ぶ値札の。というわけで、この勝負、結城幸司の勝ち。学生があの値段を出しちゃうんだから、やはり相当な力が作品そのものにあるんです。
 
 ちなみにこの作品のエディションナンバー1ね。結城さんの多色刷り木版画って、エディションによって全然色調が違うんですが、この作品の#1は本当に鮮やかな赤が入っていた。別のエディションナンバーの同じ作品もありましたが、殆ど別物。今日、彼女が買った一枚は30年後には10倍くらいの値段になってるんじゃないかなあ。いや、なってないとあかんのよ。結城幸司の作品のセカンダリーマーケットが成立していて、良い作品はプライマリーマーケットに出た時より値段が上がってるってことは、結城幸司より若い世代のアイヌの作家もそこそこ食えているってことなんだから。

 そんなわけで、今日も唖然とする学生の前でやってきましたよ、オヤジ二人の言いたい放題トーク。

学生「先生、アートの世界で成功するってどういうことなんですか?」
私「それは、作品が高い値段で売れるってことだ。カネだよカネ。カネをいっぱい動かさないと駄目なんだ。」
結城さん「加藤くん、違うよ。カネなんか稼ごうとしたらアーティストは駄目になるよ。」
私「な~に言ってるの! オヤジがもっともっとガンガン稼がないと、後に続く世代が苦労するんだよ。(アイヌ)レブルズが行き詰まっちゃったのも、あんたがもっとメジャーになって道拡げとかなかったからだよ!」
結城さん「いや、レブルズはレブルズで色々考えがあって解散したんだからさあ。」
私「いやね、結城さん。俺、思うんだけど、今の日本でアイヌ文化で大もうけしてみせるってのは、無茶苦茶トンガってないと出来ないでしょ。先住民文化を金儲けに使うのかよってボロクソ叩かれるから。でも、だからこそ、それがアートになるのよ。先住民文化で大金持ちになることが許されない風潮に対する最高の批評なんだから。だからオヤジかっこつけてないで、もっともっと稼ごうよ。目指せ村上隆だよ。」
結城さん「加藤くんはマゾだね。」
学生「え?」
結城さん「こいつ、いつもこうなんだよ。叩かれるのが気持ちいいから、敢えて嫌われるようなことをバーンと言っちゃうの。」
学生「あ~。たしかにそうかも・・・・」
私「納得してんじゃねえよ! 結城さんはマゾっけが足りねえなあ(笑)」
結城さん「いやでも実はね・・・・」(この後、結城さんの口から衝撃的なニュースが!)

 こっから先はまだ秘密。

 でも、ついに結城幸司が次のステージに進む時が来たようです。今いるとこより確実に表現者として上に行くと思う。

結城さん「・・・・って話なんだけど、どう?」
私「それはかなりマゾだね。良いね。すげー良いね。」

 皆さん、雪が溶けたら北海道に行きましょう。すげーもん見れるから。私も多分行く。学生連れて行く。