「エディ・ウッド・ゴー」読了

「EDDIE WOULD GO」の邦訳を読みましたよ。

 結構良いですね、訳文。かなり原文のテイストを残したチューニングですが。その辺は翻訳家と編集者の判断によるので、これはこれで良いんじゃないかと思いました。日本語としてのリズムも存在しているし、いや本当に悪くないですよ、この本。あとは名詞の訳語の選び方もちょっと違うかな。例えばPolynesian Voyaging Societyの訳語を私は「ポリネシア航海協会」にしているのですが、翻訳家の名和穣治さんはそのままカタカナにしてますね。ホクレアの船長だったDave Lymanは作中ではCaptain Lymanと表記されることが多いのですが、これも「キャプテン・ライマン」というチョイス。私はもっと大胆に「船長のデイヴ・ライマン」とやっちゃうんです(笑)。

 それからナイノア氏のしゃべり方。これまで多くの翻訳家が彼に丁寧語を喋らせてきて、私もインタビューや手記に関しては彼に丁寧語を喋らせているのですが、この本は珍しく、ナイノア氏は全て砕けた口語調で喋っています。

 面白いでしょう。翻訳家次第でいかに訳文が変化するかってことです。

 名和穣治さんはハワイにある実務翻訳家養成の大学院(そんなものがあるんですね。最近になって専門学校から大学に組織を変更したみたいですが)の修士課程を出られた方。専門は法律翻訳だそうです。サーファーであり、セイラーでもあり、沿岸警備隊の何かの講習会も優秀な成績で修了されたとのこと。しかも著者の直接の友人。参りました。

http://www.babel.edu/news/nl_pst1.html

 ともかく、この邦訳は買って損無しです。もっとガンガン売れて欲しい。そうなるべき本です。みなさんも是非、一家に一冊。

 ただねえ、入谷拓哉さんが書いておられましたが、装丁だけはちょっと・・・・・・なにかごちゃごちゃしていて、書店の店頭で目立たないんですよ。私も店員2人動員して10分間探し続けて、やっと見つけました。