THE EDDIE reports

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 昨年開催された「THE EDDIE」のレポート記事が出そろいました。

 『Surfing World』誌は128-139頁。
 冒頭はいきなり見開きの波に乗るブルース・アイアンズの写真なのですが・・・・・何これ? 空間識失調になりそうな写真です。笑ってしまいました。すごい。これがワイメアなのか!! これがエディの波なのか!!! その後もとにかくワイメアの波の異常さを思い知らされる驚異の写真の連続技で畳みかける作りです。ロス・ウィリアムズとケリー・スレーターとブルース・アイアンズが編隊組んで1つの波に乗っている写真がこれまた凄い。いつもスカパーで見ているASPワールドツアーの競技とは別物です。レポートを書いているのはヤマモト・サダヒコさんという方で、「THE EDDIE」の日のノースショアの雰囲気をとても上手く描写しておられます。サーフィンをしたことが無い私のような人間にも、サーファーがこのイベントをどう感じたのか、どこに注目したのかが良く伝わって来ますね。例えばブルース・アイアンズが勝利を決定づけた瞬間の語り方など、実際にサーフィンをしている方ならではです。

 記事の最後に、「普段の大会と違う、ある意味サーフィンの精神世界を知ることが出来た気がする」と書いておられるのも印象的ですね。エディの伝記『Ediie Would Go』でも、エディはサーフィンを根本的にはスピリチュアルな体験と考えていたと書かれています。チューブの中に入ると、ある瞬間、波と自分の境界が消滅して、自分が波そのものとなるのだそうです。エディのこうした感性が、競技者としてのエディの限界を形成していたのであり、エディが「THE DUKE」を勝つにはウェイン・"ラビット"・バーソロミュー(現ASP会長)によるサジェスチョンが必要であった(つまり競技で勝つ為のスタイルにアジャストしなければならなかった)のだそうです。

 『Surfin' Life』誌も98-109ページで特集記事を載せています。ライターはウチダ・ジュンジさん。冒頭には「THE EDDIE」のオープニングセレモニーの写真が出ています。こちらの記事はエディ・アイカウの事跡を中心に持ってきた構成です。ワイメア・ベイにおけるサーフィンのありようの変遷やワイメア・ベイの図解、「THE EDDIE」の歴史など、この雑誌ならではの情報も多いです。

 『NALU』誌は136-141ページに記事があります。ライターは永井巧さん。
 この雑誌はロングボード専門誌のようで、前述2誌のような競技サーフィンの記事は殆ど無いですね。裏表紙にはバッファロー・ケアウラナさん(ホクレアの初代クルーで、1976年往路ではベン・フィニーに殴りかかったという逸話がある。また1978年の航海直前、エディはわざわざサンセットビーチまで出向いてバッファロー・ケアウラナに会いに行き、アドバイスを求めたとされています)のイベントの広告もあります。

 「THE EDDIE」の記事は、これに実際に参加した日本人ライフガードの入谷拓哉さんへのインタビューが中心になっています。先日スカパーで見たウェイン・"ラビット"・バーソロミューのインタビューでも、大会運営のキモとしてのバックアップスタッフの重要性を強調していましたが、この記事は特にライフガードという所に焦点を当てて、その仕事の内容や重要性、スタッフの心の動きなどを活写しています。エディがそもそもこのワイメア・ベイのライフガードであった事を思えば、この企画は非常に鋭い所を突いたものだと思います。切り口の勝利ですね。企画段階で勝負は8割方決まっていたような。

 入谷さんのインタビューの最後には、「THE EDDIE」というイベントの持つ精神性が、やはり語られていました。「それは波のサイズが大きいとか、そういうことよりも、サーフィンの持つスピリッツが人々の中でどれだけ大切なものとして受け継がれてきたかだと思うんですね。」と。

 今、日本において、そのように大切にされている文化は何なのだろうかと少し考えてみたのですが、やばい。思いつかないです。日本の風土に根ざし、誰もが気軽に楽しめて、それでいて奥は限りなく深く、さらには国外の人々にも広がっているもの。「ナントカ道」(柔道剣道合気道茶道華道)として世界に広がっているものはいっぱいありますけれども、これらはみな家元制ですから、誰もが自分のスタイルで気軽に楽しめるということがない。ハワイは本当にちょっと行けばビーチですから、私もハワイに住んでいたならサーフィンやってみたくなりますね絶対。

 和太鼓なんか、最近ではそんな感じになる気配も出てきていますけれども、あれって都市部ですとなかなか練習出来ないんですよね(防音設備が必要なので)。他には何か無いのでしょうか。みなさんもちょっと考えてみて下さい。