ちょっとググってみたら、アオテアロアを発見したとされる伝説の航海者クペの物語がまったく日本語になっていないので、これは・・・・・・やらねばなるまいと思いました。
それでは、今日は航海者クペの伝説のタコ編を紹介しますよ。
ことの始まりは、ハワイキに住むムツランギMuturangiという男が飼っていた大だこのテ・ウェケTe Wheke o Muturangiでした。テ・ウェケには沢山の子供(のタコ)が居たのですが、こいつらがタチの悪い奴らで、クペの一族が海で釣りをしていると、片っ端から彼らの釣り針についた餌を盗んで回るのでした。困り果てたクペの一族は、ムツランギに苦情を言いに行ったのですが、ムツランギは取り合ってくれませんでした。
そこで、クペの一族は相談し、テ・ウェケとその子供達を皆殺しにしてしまうしか無いということになりました。クペは敵の大将であるテ・ウェケを討ち取るという大役を、一族の長老たちから仰せつかりました。
翌朝、クペの一族はカヌーを漕ぎ出し、釣りを始めました。そして、テ・ウェケの子供達がやってくると、片っ端からそれを海上に引き上げて殺していきました。しかし、テ・ウェケだけはクペたちの罠にはひっかかりませんでした。その晩、再びクペの一族は相談して、クペとンガフエNgahueに、テ・ウェケ討伐を改めて命じました。そこでクペはマタホウルアMatahourua号という航海カヌーを用意し、ンガフエはタウィリランギTawirirangi号という航海カヌーを用意しました。
翌朝、クペがマタホウルア号に乗り込もうとすると、クペの妻のヒネ・イ・テ・アパランギHine i te aparangiがクペにしがみつき、「昨夜自分は、この航海であなたが命を落とすという予知夢を見た。だから出航は思いとどまってくれ。」と懇願しました。すると、クペは、自分に一族を裏切って恥をかけというのかと激怒し、妻ヒネ・イ・テ・アパランギと子供達にもマタホウルア号に乗り込んで、一緒にテ・ウェケを倒すよう命じました。
一方、ンガフエはタウィリランギ号に乗り込んで、一足先に出陣していました。途中、テ・ウェケに遭遇したのですが、これを討ち取ることは出来ませんでした。やがてクペの載ったマタホウルア号もタウィリランギ号に追いつき、二艘の航海カヌーは、逃げるテ・ウェケを追ってひたすら南に向かいました。
テ・ウェケ追撃の航海は何日も何日も続きました。やがて気温は下がり、夜は冷え込むほどに南の海まで、二艘の航海カヌーはやってきました。ある日、クペの妻、ヒネ・イ・テ・アパランギが、水平線を指さして叫びました。「雲! 雲が見える!(Te ao! Te ao!)」
これが、「白い雲がたなびく地Aotearoa」の名前の由来です。
(続く)