昨日放送された、吉田清継さんの作品「ALOHA!日本 ~ハワイの心、ホクレア号日本へ~」のレビューであります。放送されなかった地域の皆さんも、何とか合法的手段で(動画サイトに勝手にアップロードしたら公衆送信権侵害ですよ)見られることを願いつつ。
■全体の構成
作品の長さはおよそ51分。大まかに5つのパートに分けられるかと思います。以下、本記事での仮称としてAパート、Bパート、Cパート、Dパート、Eパートと呼びます。
Aパート
ハワイアン・ルネッサンスとホクレア建造の経緯、第1回タヒチ往還航海、モダン・ハワイアン・ウェイファインディング(番組中ではより一般的な「ナヴィゲーション」という言葉で表現されています)の誕生、サタワル島へアリンガノ・マイスを届けるミッションの解説、オアフでの出航の式典におけるナイノア氏のスピーチ、カワイハエでの出航の祈り。
Bパート
ウェイファインディングの基礎概念解説(CGによる)、サタワル島到着、サタワル島でのポゥの儀式、祝宴、ナイノア氏インタビュー
Cパート
糸満入港シーン、内野さんと荒木さんの紹介、日本航海のルート説明、関門海峡通過の様子、祝島の紹介と祝島の方のインタビュー、櫂伝馬船準備の様子、ホクレア歓迎の様子
Dパート
周防大島の椋野漁港入港シーン、沖家室の紹介、カワノ・ヨシオ氏とナイノア氏の関係の紹介、日本ハワイ移民資料館でカワノ家の資料を実見したナイノア氏の様子、沖家室の泊清寺での法要、沖家室の漁師さんのインタビュー
Eパート
先代えひめ丸の事故の解説、ホクレアの宇和島入港、えひめ丸事故犠牲者追悼儀式、えひめ丸事故のご遺族のインタビュー、横浜入港シーン
■感想
1時間番組ならこれが限界かなという感じですね。非常に上手くまとまっていると思います。1976年の時点でポリネシアに航法師が存在しなかったというナレーションは事実誤認ですが、そういう報道が日本では非常に多いので、致し方ないかと。エディ・アイカウのエピソードや伴走船カマ・ヘレの重要性についての解説が無いのはもったいないよね、という見方もありますが、これも時間的制約を考えたらしょうがなかったと思います。サタワル島でのポゥの儀式の紹介にかなり時間を使ってくれていますし。ホクレアのミッションの半分はアリンガノ・マイスのデリバリーだったわけですから、ここに番組の半分近くを使ったのは見識ですよ。
素晴らしいのは、CGを使ったウェイファインディングの解説ですね。あれはどこから手に入れた素材なんでしょうかね。非常に良く出来ています。全体の演出も抑制が効いていて、遠赤外線のようにじわじわとホクレアの魅力が伝わってくる印象です。最後に流れるBeginの曲(何とこの番組の為の新曲)もなかなか。吉田さんは以前にこのウェブログでも紹介した、Beginとケアリィ・レイシェルの交流を採り上げた番組も作っておられるので、その縁なのでしょうね。
■その他
クレジットも面白かったですよ。コーディネイターの欄にはニック加藤さんの名前があったし、協力者ではナアレフ・アンソニーさんやキモ・ヒューゴさんの名前が。