書評・読書記録

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書評:門田充宏『蒼衣の末姫』

門田充宏『蒼衣の末姫』(東京創元社・2021) 蒼衣の末姫 (創元推理文庫) 価格:968円(税込、送料無料) (2021/10/28時点)楽天で購入 今時なかなかチャンスが回らない、ラノベではない異世界ファンタジーの完全新作ということで大...
アート&デザイン

内資老舗名門出版社群におけるマーケティングやデザインの不在感

創元から最近単発で出た非なろう系国産ハイファンタジーを読み進めている。 発売直後に買って初速にも貢献したはずなので、ストレートな感想を書くくらいはゆるされるだろう。 作者はSF畑のベテラン。上橋菜穂子作品に風の谷のナウシカと戦闘妖精雪風(1...
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川越宗一『熱源』書評:NHKの大河ドラマの2時間総集編みたいな小説でした

川越宗一『熱源』 読了。 誰が主人公だかよくわからないのと、場面転換が細かくてポンポン時空ジャンプするのと、さほど必要とも思えないような実在有名人の一瞬だけ登場演出の多さと。 悪い意味ではなくこれは最近の漫画の演出を取り込んでいるのではない...
小説

書評:佐藤亜紀『バルタザールの遍歴』

佐藤亜紀『バルタザールの遍歴』読了。1991年の日本ファンタジーノベル大賞受賞作。 日本ファンタジーノベル大賞は『後宮小説』とこれで路線が決定的になった感がありますね。 内容は佐藤の好きな20世紀初頭のドイツを舞台にしたピカレスク幽体離脱ド...
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書評:カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』 / 正統派ファンタジー小説がいかにしてノーベル文学賞を射止めたか。

カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』読了。 竜も剣も円卓の騎士も魔法もきちんとした役割と必然性を与えられて投入されている正統派アーサリアン・ファンタジーだけど、戦争や民族対立と諸々の残虐行為の記憶とどう向き合うべきかという難しい問いを見事に物...
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書評:弘也英明『厭犬伝』

弘也英明『厭犬伝』を読みました。 2007年の日本ファンタジーノベル大賞受賞作。著者は立教の文学部卒だから私の後輩ですね(学科は違います)。初めて書いた小説が本作で、それでファンノベ大賞受賞。これ1作限りで活動を停止という、なかなかの人物で...
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書評:中村弦『天使の歩廊―ある建築家をめぐる物語』

2008年の日本ファンタジーノベル大賞受賞作です。 近代日本を舞台にした連作短編形式のゴシック小説ですね。マジックリアリズム系イントルージョン・ファンタジーが圧倒的に強いこの賞では珍しいかもしれません。作者の中村弦は本作受賞でのデビュー時に...
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書評:高丘哲次『約束の果て:黒と紫の国』

高丘哲次『約束の果て:黒と紫の国』を読みました。  2019年の日本ファンタジーノベル大賞受賞作です。  最初に結論。これぞファンノベ大賞! という小説です。  今の日本でファンタジー小説というと、まずは「小説家になろう」系のものが想像され...