ネットを徘徊していると、原発反対運動の方々がホクレアの日本航海に何か大きな期待をされている様子が感じ取れます。
例えば山口県の祝島。例えば六カ所村。
たしかにホクレアがそれに似た活動に関わった歴史はあります。フランスによるムルロア環礁での核実験の際にはホクレアもムルロア環礁付近まで行って反対デモをしました。マウ老師のご子息、セサリオさん曰く、航海カヌーに乗っていて最悪の体験がこれだったと。どうも、フランス海軍の軍艦に追い回されて酷い目にあったようです。
ただ、大自然のど真ん中で核兵器をぶっ放す核実験と原発の間には、結構な距離があると思うのですよ私は。なにせ核兵器というのは破壊の為の道具でしかないですからね。そしてその実験も非常に傍迷惑なものです。ビキニ環礁もそれで人が住めない島になりましたしね。日本の漁船も巻き添えを食った。これはたしかにどうしようもない。どうしても戦争がしたいのなら、もう少しスマートにやるべきでしょうしね。
しかし、原発については私はよくわからんのです。そりゃあ、無ければ無いに超したことはないですが。でも、原発で生み出された電力は明らかに社会の役にも立っている。そこは否定出来ない。
実はですね。六カ所村の施設の問題については私も少しだけネットで調べてみたことがあるんです。ですけれども、正直、実際にはどうなのか、全くわかりませんでした。坂本龍一さんや星川淳さんのグループがやっている反六ヶ所村施設のウェブサイトは、プラグインを多様して作りがオシャレなのはわかりますけれども、冷静で実証的かつ客観的な問題提起をしているようには思えませんでしたしね。たしかにグリーンピースのような団体はそれらしいデータのようなものを並べたりするのですが、何せグリーンピースのデータのイカサマ加減は捕鯨問題を調べた時に痛感していますから、全く信用する気になりません。そして、その手の胡散臭いデータしか見当たらなかった。だから・・・何とも言えないです。私個人は賛成とも反対とも言えない。判断材料が乏しすぎる。
とはいえ。少なくとも核兵器と原発には上で述べたような違いがあるわけですから、同列視は出来ないということは言えます。
ですから私は思います。六ヶ所村再処理施設反対とか原発反対の人達が今、ホクレアの名前を出しながらイベントを企画しておられるようですけれども、それはちょっと先走り過ぎではないのかなと。せめてそういう、政治的・社会的にある特定の立場を強く打ち出した催し物にホクレアの名前を出すのであれば、ポリネシア航海協会の了承を得てからにしたほうが良いんじゃないか。でないと、例えば私のようにグリーンピースやディープ・エコロジー系ニューエイジからは一定の距離を置きたいような人々が、ホクレアに対して変な先入観を持って「引いて」しまうのではないか。
そういう危惧があるのですが、いかがなものでしょうか。