3ヶ月くらい前、ナイノアはこう言った(らしい)

 Office of Hawaiian Affairsの機関紙にナイノア氏のインタビューを見つけましたので、紹介。
 3月末発行の号に掲載されているので、取材はだいたい今から3ヶ月前と推測されます。

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 とりあえずこの頃の彼は、カメハメハ校裁判の対応の他、フォーブス洞窟の遺物問題(ビショップ博物館が収蔵していた先住ハワイ人の遺物を一部の先住ハワイ人グループが人知れず埋めてしまった事件)への対応に忙殺されていたようです。

 とはいえ、この時点ではまだ4月のタヒチ航海計画は生きていたわけで、自然、話はそこに向かいます。

 この頃のナイノア氏の考えでは、ホクレアは5年間で次のような航海をこなすことになっていました。

ハワイ諸島周航(2005年に実施)
タヒチ航海(中止あるいは延期中)
ミクロネシア経由の日本航海(2007年に計画)
アオテアロア航海

 普通に解釈するならば、これらの大航海を2005年から2009年までの5年間で行う、ということになります。現在は2年目。まだまだ時間はありますわね。

 さて。彼の予想では、来年夏の時点で、ハワイ諸島には16艘の航海カヌーが存在すると言います。そのうち7艘は遠洋航海が可能な大型の航海カヌー。

 ちょっと数えてみましょうか。まずは大きい方から。

ホクレア、ハヴァイロア、マカリイ、ホクアラカイ、イオセパ

 ここまでは現役か、一度は現役になった(微妙な言い方ですが)船。この他、カウアイ島の「ナ・マホエ」とマウイ島の「モオキハ」は、多分完成すれば遠洋航海にも使えるでしょう。これで7艘。あと9艘は、「モオレレ」のような小型のダブル・カヌーなんでしょうね。それにしても、小さい方もそこまで増えていたのは驚きです。

 他にも色々と興味深い発言がありますね。例えばホクレアは1月に乾ドックから出てきたそうですが、この時の改修では、水密性の向上と船体の軽量化が図られたそうで、彼の言葉によれば、現在のホクレアは進水してから最も水密性が高く軽い状態なんだそうです。水密性については、1978年の遭難の主な原因の一つ(パッキンがきちんと閉まっていなかった)でもありますし、船体の強度を落とさないまま重量を軽く出来れば、浮力も出ますし剛性も上がる(船体が支えるべき自重が減るわけですから)。速度だって出る。良いことずくめです。多分、古代に存在したどの航海カヌーよりも、現在のホクレアは高性能な状態でしょう。

 それから、彼が幼少時に海について教わったカワノ・ヨシオ氏はやはり日系二世のようですね。そう明言しています。そしてこれは注目すべき発言です。「彼(カワノ・ヨシオ氏)は泳げなかった」。

 また、1973年か74年に彼がハーブ・カネと会った時、ハーブ・カネは4人乗りのアウトリガー・カヌーの船体を2つ使って、小型のダブル・カヌーにしていたのだそうです。それで、このダブル・カヌーを漕ぐ為に、彼が所属していた名門カヌー・クラブ「フイ・ナル」を訪れたと。彼がダブル・カヌーを見たのは、この時が初めてだったそうです。だから、最初は何故、ハーブ・カネがこんなケッタイなものを造ったのかもわからなかった。面白いもんですね。