ヴァイキングの航海

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 一昨日、神保町に用事があったのでふらふらと古本屋街を歩いていたら、ちらりと目尻に入った本がありました。

ジュディ・ローマックス『ヴァイキングの航海 : 「ガイア号」でアメリカ大陸へ』仙名紀訳、図書出版社、1994年

 かなり安めの値がついていたので、とりあえず購入。アマゾンにも出ていない、ちょっとレアな本のようです。内容は、1992年のコロンブスによるアメリカ到達500周年記念行事に、それより500年も前にアメリカに渡っていたとされる、ヴァイキングの英雄レイフ・エリクソン(訳書ではアイリクソン)の事績を思い出させる為に、古代のヴァイキング船を再建して乗り付けようという実験航海の記録ですね。

 まだ飛ばし読みしかしていませんが、著者(何故かイギリス人女性)はかなりアグレッシブな方のようで、プロジェクト内外のゴタゴタを几帳面に記録している・・・というか、そういう場面で最も筆が踊るような印象があります。ストレートに言えば、他人の悪口を書くのが好き系の人。

 結局、このプロジェクトはノルウェーとアイスランド両国政府の資金を得て決行され、船はなんとか大西洋を横断します。とはいっても、完全に古代のままの航海術と船でというわけではなくて、かなりの区間を曳航されたようですが。

 こういう再現航海プロジェクトにつきものの内部意思の不統一の問題、あいつが手柄を横取りしようとしているとか、あいつが自分で仕切りたがっているんじゃないかとか、そういう疑心暗鬼がいかにこういったプロジェクトを蝕むかという生々しい事例に触れることが出来る、というのが本書の最大の利点かもしれません。

 ちなみに大西洋方面の実験航海では、ティム・セヴェリンによる「ブレンダンの航海」を以前に紹介しましたね。こちらは「コン・ティキ号漂流記」と同じ訳者が1979年に邦訳したのですが、既に絶版で市場から消えているみたいです(原著は定番本なのでアマゾンですぐに買えます)。

http://blogs.yahoo.co.jp/hokulea2006/archive/2005/03/20