葦船、今度はインド洋を渡る

 先日、高知から伊豆を目指した葦船の実験航海がありましたけれども、今度はインド洋の方で、似たような取り組みが始まるようです。

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 オマーンで、およそ5000年前の船が再現され、スールからインド東部のドワールカまで実験航海を行うんだとか。船は葦の他に木材も使っているもので、出航は9月の7日。10日から30日くらいの期間でドワールカまで行きたいとのことです。もちろん近代的な航海用機材は一切使わない。この5000年前の船は「マジャンMajan」というのだそうです。古代の楔形文字にこの名前があるそうで、「Ma」が船、「Jan」が体を意味するんだとか。

 これはどうやらオマーン政府の事業のようですね。オマーンの古代の航海技術を蘇らせるのが目的らしいです。リモート・オセアニアの航海カヌー文化復興運動と基本同じっす。

 この地域ですと、実験航海界の巨人ティム・セヴェリンが、中世アラビアの貿易船を作って中国まで行きましたが、5000年前の葦船ってのは初めてじゃないっすかね。

 ついでにもう一つ面白い話。

 今回の目的地ドワールカはインドの古都の一つで、叙事詩「マハーバーラタ」によれば、かつてクリシュナ神自身が納めていた都でしたが、ある時、大津波によって海中に没したのだそうです。その伝説のドワールカが現在のドワールカと同じ場所のことなのか、それとも同じ名前を持つだけの伝説に過ぎないのか、色々と論争があったのですが、近年、ドワールカの神殿の地下から、およそ2500年前の都市が発掘されて、どうもクリシュナ神の伝説は事実の一端を伝えているのではないかという話になりました。その後、ドワールカの沖合の小島から、やはり古代の港市の跡が発見されるなど、古代インド洋の海上交通におけるドワールカの重要性を示す物証が見つかったりしています。

 もしかしたら、今回のマジャン号の実験航海の目的地も、このような学問的成果を鑑みて決められたのかもしれませんね。

ドワールカの発掘については、こちらのpdf文書をご覧下さい。

http://www.ias.ac.in/currsci/may102004/1256.pdf