そうそう、昨日は記者会見も聞いて来ました。ナイノア氏や内野さん、荒木さんが何をおっしゃるか聞いて、それもまたシンポジウムに生かしていきたいなという考えがありましたので。
さて、ナイノア氏はいつも通り、彼らが言うところの「リーダーシップ」の重要性を話すところからスタートします。ブルース・ブランケンフェルド船長、チャド・バイバイヤン船長(今日、再来日されるとか口走っていました)、マイク・テイラー船長、チャド・パイション船長、ナアレフ・アンソニー船長(パラオからヤップまではナアレフ氏が船長でした。ナアレフ氏のゲリラ講演会も既にお願いしてありますからね)らリーダー格の人々の働きの重要性を強調し、続いて内野さん、荒木さん、カイウラニさんら若手の努力を褒め称え・・・・。
特にナイノア氏が念入りに紹介していたのはマイク・テイラー船長。なんとマイク船長はミクロネシア・日本航海の出航までに3年半もかけて伴走船の準備を整えられたのだそうです。そして1月のホノルル出航から横浜入港まで(西村さん曰く乗り心地最悪の)カマ・ヘレの船長を務められた。偉大なる海の男です。
そして例によって話が長い。通訳入りで倍づけですからね(笑)。
平和についても強調しておられましたよ。長崎や広島に言及して、日本という国はずっと平和に向かって努力してきた国だと。一方、自分たちの国はそういうことをして来なかったし、メディアも戦争の話ばかりしている。こんなことではいつまで経っても平和は来ない。
そういえばマカナニさんにカホオラヴェ島のことを少し聞かせていただいたときも、「米軍はカホオラヴェ島の爆弾を除去すると約束したが、あれは嘘だった。もしも私がテロリストなら、爆弾などいくらでも手に入るんだよ。何せ、掘ればいくらでも出てくるんだからね。」とおっしゃっていましたし、米軍へのまなざしは全体として言えばかなり厳しいようですね。
さて、記者会見の最後には内野さんと荒木さんの簡単なスピーチもありました。私も興味しんしん。
まず内野さん。要点のみを箇条書きにします。
・日本各地で思っても見なかった豊かさの存在、想像もしていなかったような土地、沢山の神聖な場所を知ることになった。
・海外の人たちが日本を見ているような(感嘆の)まなざしで、自分たちは日本を見ることが出来ているかという問いが膨らんできた。
・日本の社会は今、向かうべき場所のビジョンをきちんと持てているだろうか? また個々の日本人はその為に努力しているのだろうか?
・ホクレアは日本にメッセージを伝えに来たのではなく、(日本人の為の)問いを持ってきてくれたのかもしれない。
・(ホクレアの横浜入港が)始まりなのではないか? 一つ一つのことをきちんと続けていくのが大事なのでは?
続いて荒木さんです。
・自分は転校を繰り返して育ったので、3年と同じ土地に住んだことが無い。だから大人になった時、自分がどこから来たのかわからなかった。そんな中で海に出るようになり、海から見た島の面白さに気付き、夢中になっていった。
・ライフガードの勉強をしている中でエディ・アイカウを知り、ホクレアに出会った。最初はホクレアのクルーが見ているのはどんな光景なのだろうという疑問が出発点だった。
・時化の中で沖縄を見つけた瞬間は本当に感動した。日本人として日本を発見する喜びを人々に伝えることこそ、自分の役割なのではないかと直観した。
・日本人は今、一人一人が自分自身の航海に出なければいけない時だと思う。そうやって一人一人が自分の目指す「見えない島」に向かっていかなければならない。しかしそうした航海はとてつもない恐怖を伴う。恐怖は勇気を食ってしまう。だから恐怖に打ち勝って航海を続けるには、偉大すぎるほどの夢を持つ必要がある。
・自分は寄港地で子供たちに、大きな夢を持てと語りかけてきた。彼らには、日本という島々の素晴らしい文化を守り続けるという夢を持ってくれると嬉しい。
また荒木さんは、日本に戻ってきて新聞を見る度に醜い事件の話が目に飛び込んで来たことにも降れ、「ここに集まったメディアの皆さんは、ホクレアのこの航海のような(素晴らしい)出来事をももっと伝えていって下さい。」ともおっしゃっていました。これは私も同感で、日本のメディアは良い話を書かない傾向が強いと思います。これでは世の中が殺伐としてしまう。猛省を促したいですね。
さて、みなさんの近くのメディアはホクレアをどのように報じましたか?