乗れると良いね打瀬船

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 ホクレアの広島来航を大いに盛り上げてくれた打瀬船。

村上水軍商会さんをはじめとする「幸せの星ホクレア会」の会心のヒットでしたね。

夕方からマリーナで開かれたパーティー会場に、どう見ても一般的なホクレア・ファンとは異質な方々がいらしたので、早速話を伺ったところ、やはり打瀬船のクルーでした。

この打瀬船は福山市の内海という所が15年前に建造した船で、何とこれが最後の晴れ舞台になるそうです。
http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2007/05/20/2007052010233473012.html

「おとうさんたち、あの打瀬船の方々ですか?」
「ん? そうよ。」
「なんか宮島じゃあ主役のホクレアを食う人気だったらしいじゃないですか。」
「ええ~? そうかねえ(かなり嬉しそう)。」
「普段はどんな魚をやっておられるんですか?」
「今の季節はアナゴやね。」
「一本釣り?」
「一本釣りなんかじゃ商売にならんよ。趣味でやる人はおるけどね。籠を沈めて取るの。」
「船はやっぱりプラで?」
「そうそう、プラ。木の船もおるけども、もう年取っていつ辞めても良いって人が使っとるだけだね。」
「プラの方が手入れが楽ですもんね。沖家室の漁師さんたちも、一度使ったらあんなええもんは無いって言ってました。」
「でもね、木の方が波には強いんよ。水吸って重くなるからね。だからあのホクレア号も最初見たら、ああ、こりゃ観光用の船だなって。」
「連中も木で作ったこともあるんですけどね。やっぱ手入れが大変らしくて、陸に揚げちゃったみたいです。」
「そういやあ、あの人たち、打瀬船に乗せてやったら喜ぶよって言われてたんだけど、あんまり興味無いみたいやね。」
「え? そうなんですか?」
「宮島に行った時、あとから船長(ナイノア氏)さんが挨拶に来たけど、それくらいで・・・。」
「今日の午後なんかわしらずーっとここ(港)におったし、良い風も吹いとったんだけどねえ。」
「明日はもう帰らなならんし、帆船だから夜間の航行が許されないんで、朝には出ないといかんのよ。」

あれれれれ? 何か変ですね。いや実は沖家室でもこいつらあんまし漁師さんたちの話に興味無いんじゃないかって感じたんですけど。クルーの池田さんにそう言ったら、いやそんなことは絶対に無いとおっしゃるんですよ。何かが間違っている。私の見立てか池田さんの見立てかあるいはそれ以外の何か。そこで池田さんに聞いてみました。

「クルーの人たちは打瀬船に興味無いんですか?」
「そんなことは無いです。ただ、乗せてくれなんて申し出るのも畏れ多いんで遠慮してるんです。」
「打瀬船のおとうさんたちは、何だ乗らないのかって言ってるんですけど。」
「ナイノアかチャドに話したら何とかなるかもしれませんよ。」

やはりキーパーソンは船長さんたちですかね。ではチャド・パイションさんに。

「キャプテン・チャド。今朝の打瀬船はご覧になられましたか?」
「おお、あれは美しかった!」
「打瀬船の方々が、ホクレアのクルーはうちの船に乗らないのかって言っておられるんですが・・・。」
「もちろん乗りたい。乗りたいが・・・解るだろう? 我々は寄港地での予定を全く知らされていないし、明日も4箇所に別れて行事が組まれている。本当に我々だって乗りたいんだが、時間が無いんだ。これはどうしようもないんだよ。」

う~ん、そうなんですよねえ。翌日はカヌー見学会と高校訪問が2箇所。しかもナイノア氏はそれ以外にも朝から予定がぎっしりだそうです。本当に見ていて気の毒。ですが、一応は大将にも話をしておきましょう。

「トンプソンさん、打瀬船の方々はホクレアのクルーがあまり打瀬船に興味を持っておられないようなので残念がっておられますが、実際のところはどうなんでしょうか?」
「え? そんなことは無いよ! それは誤解だ! ちょっと待ってくれ。」
「打瀬船の方々は明日はもう帰られるそうなんですが、船内のスペース自体はあるそうなんです。本気でクルーの誰かが乗ってみたいのであれば、相談してみる価値はありますよ。」
「打瀬船のクルーは今、どちらに?」
「さっきまで居られたんですけどね。ちょっと聞いてきましょうか。」

そんなわけでヨットクラブの事務所に行ったら、打瀬船の方々はもう宿舎に戻られたとのことでした。そこで「ナイノア氏は可能なら打瀬船にクルーを乗せてみたいと言っておられます。」とヨットクラブの方々にお話ししたところ、それならちょっと相談してみようかとなりました。そこからは村上水軍商会さんとかヨットクラブの方々とか、要するに専門家の領域です。私はナイノア氏に事情を説明して、後はヨットクラブの方々と相談してみてくださいと申し上げて会場を後にしました。

乗れると良いですけどね、打瀬船。後は例によって縁があるかないかでしょう。

画像1:打瀬船「内海丸」に乗ってきた4人の漁師さんたち。
画像2:いよいよ最後の航海を間近に控えた内海丸。
画像3:パーティーそのものはこんな感じ。フラや反戦フォークの演奏もありました。