書評・読書記録

書評・読書記録

山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』:ライト版『ノルウェイの森』

山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』読了。とても短い小説だったので1時間もかからずに読めました。第41回文藝賞受賞作。私はいわゆる純文学はほとんど読まないので、それ系統のものを読む時にはいつも「なるほどこれが純文学か!」と唱えながら読んで...
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トネ・コーケン『スーパーカブ』とおっさん粒子理論

『ガンゲイル・オンライン』既刊10冊のうち9巻までをあっという間に読破した息子が、トネ・コーケン『スーパーカブ』を読みはじめて「スーパーカブは良いよ。癒やされる」とか言い出した。スーパーカブ (角川スニーカー文庫) 価格:704円(税込、送...
小説

古谷田奈月『星の民のクリスマス』を読んであらためて日本ファンタジーノベル大賞の傾向を考えた。対策など無い。

古谷田奈月『星の民のクリスマス』読了。2013年の日本ファンタジーノベル大賞受賞作。選考会議でもめちゃくちゃ揉めて、椎名誠は棄権、萩尾望都と小谷真理の「スペック採用」的な推しで大賞受賞に至ったという問題作。(結果的に二人は慧眼だったわけです...
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伊藤計劃『ハーモニー』はプロットに大穴が開いているのではないか? 何か見落としがあるだろうか(あったら教えて欲しい)?

ごく短い期間、SF作家として大活躍された後に夭逝された方の小説を初めて読んでいる。 いかにも「あの時代」に書かれたものっぽい雰囲気と各種セットアップだなというのが第一印象だ。エヴァンゲリオン、攻殻機動隊アニメ、森博嗣。好きだったんだろうなあ...
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日本ファンタジーノベル大賞受賞作『隣のずこずこ』を(飛ばし読みだけれど)読みました。

4年前の日本ファンタジーノベル大賞受賞作『隣のずこずこ』を(飛ばし読みだけれど)読みました。小説自体は、面白かったです。これ書いた人は当時は学生で、なんていうんでしょう、いつの時代にも20歳前後の若者のある部分に存在する虚無感や無力感を、上...
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大橋崇行・山中智省編『小説の生存戦略:ライトノベル・メディア・ジェンダー』おぼえがき

大橋崇行・山中智省編『小説の生存戦略:ライトノベル・メディア・ジェンダー』所収の金木利憲「「聖地巡礼」発生の仕組みと行動」で観光学は観光の経済学的側面しか議論しないとあるが、ヴァレン・L・スミス編『ホスト・アンド・ゲスト』所収のネルソン・グ...
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高野秀行・清水克行『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』書評。雑貨屋と専門店の違い。

高野秀行・清水克行『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』を読んでいる。もう読んでいるだけで、ああ清水、お前変わらないな語り口(笑) と嬉しくなる。彼は大学1年の時からこんな感じだった。(英語の授業中に自分で「三の線」「C調」と言...
小説

‘Cead mile failte’と’As the coffin lid closing.’

小説を書いていて自分が昔読んだり見たりしたものがふっと出てくることは多いんです。例えばの話。暗闇の中で待機していた船に、敵陣に潜入した工作員が戻ってくるシーン。そういうのを半月くらい前に書いた。その時に自分がイメージしていた情景ってのは、も...