セレスティアル・ナヴィゲーション

 今日の報告は伴走船のコックさんからのものでした。カマ・ヘレはケアラケクア湾以降、全く魚が釣れていないのだそうです。ジョンストン環礁まで来てようやくヒットがあったものの、釣り上げるまでにサメの皆さんがゴチになってしまったとか。ただ、残された頭の部分を使ってポキを作ったところは流石です。

 さて、ようやく更新された日本語ブログでも訳注で少し書きましたが、実は英語話者の間では「スター・ナヴィゲーション」という言い方は殆どされません。最も一般的なのは「navigation」あるいは「non-instrumental navigation」です。天文観測の側面を強調したい場合は「celestial navigation」。そしてハワイというかナイノア系の技術を学んだ人物の場合は「wayfinding」という単語を用いることが非常に多い。

 何故「star navigation」ではないのか。はっきりしたことは判りませんが、まず言えるのは、starというのが恒星だけを指す言葉だということ。ここは英語ではきっちりと使い分けられていて、惑星planetや衛星satelliteをも含めてstarと書くことは絶対にありません。少なくとも私は見たことが無い。「天体celestial bodies」を用います。ですから、航法術に関しても「celestial navigation」を用いるのです。

 ただ、celestial navigationと書いた場合には西洋式の天測航法も含んでしまいますし、そもそもリモート・オセアニアの伝統的航法技術は天測のみに頼っているわけではありません。そこで、ハワイの人々の場合はウィル・クセルク先生が考案した「道を見いだす技法wayfinding」という言葉を使い、研究者が論文を書く際にはnon-instrumental navigationとかtraditional celestial navigationという言い方になるのです。