マオリの女王が逝去

 日本の新聞にも記事が出ていて驚いたのですが、8月15日にマオリの女王、テ・アリキ・ヌイ・ダメ・テ・アタイランギカアフ(Te Ariki Nui Dame Te Atairangikaahu)さんが亡くなられたそうです。75歳。

 マオリに王がいたのかと意外に思われる方も多いでしょう。実はマオリの王という存在は結構新しく、初代の王が1856年に戴冠して、アタイランギカアフ女王で6代目でした。ちなみにカメハメハ1世がハワイを統一したのは1810年。ワイタンギ条約でマオリがアオテアロアの主権をイギリスに譲ったのが1840年となります。

 マオリの王は、当時、かなりやりたい放題だったイギリスに一致団結して対抗する為に、新たにマオリが創出した制度でした。初代の王は酋長たちによる選挙によって選出され、二代目の王はイングランドまで行ってマオリの自治とマオリ議会の設立を働きかけるのですが、これは失敗に終わりました。結局マオリの王制は象徴的なものとして継続し、初代のポタタウ・テ・ウェロウェロ王の子孫が代々継承しています。

 アタイランギカアフ女王は、毎年ワイタンギ・デイに出席して、航海カヌー「テ・アウレレ」にも乗っておられました。謹んでご冥福をお祈りいたします。