評論

評論

ウェブマーケティングをしない小説家たち

過去に日本ファンタジーノベル大賞で入賞した作家たちのその後を調べると、驚くほどにウェブマーケティングに消極的であることがわかった。小野不由美とか恩田陸とか鈴木光司みたいな、オウンドメディア・マーケティング不要な超売れっ子はともかくとして、古...
評論

超自然的なものが出てこないファンタジー小説は可能か

『後宮小説』を久しぶりに読み返してみて確認したのだが、この作品には魔法や奇跡の類が一切出てこない。比較的低い発生確率のイベントが幾つか連なって起こるくらい。だが、これが日本ファンタジーノベル大賞の第1回を、圧倒的評価で勝ち取った小説なのであ...
評論

久美沙織によるラノベの定義に納得した

15年前に久美沙織がラノベの本質を的確に書いていて、やはりラノベはその時代のティーン文化にアタマのてっぺんまで浸かっている人間だけが書けるものだと確信した。 久美沙織はラノベの源流の一つ、コバルト文庫の看板作家だった人で、うちにも1冊ある。...
評論

『何かが道をやってくる』と『トーマの心臓』

そういえばレイ・ブラッドベリもファンタジーの範疇に入る作家だった。読んだことがあるのは  『太陽の黄金の林檎』(The Golden Apple of the Sun, 1953) 『何かが道をやってくる』(Something wicked...
書評・読書記録

Book of Isle(「アイルの書」シリーズ)における地母神モチーフと、21世紀の産業ファンタジーのソレジャナイ感と

改めて調べてみると、思った以上に自分はファンタジーというものを読んでいたことに気づいた。 エレン・カシュナー『吟遊詩人トーマス』(1991) ジーン・ウルフ『拷問者の影』(1981) エイブラハム・メリット『イシュタルの船』(1924) ヒ...
小説

ファンタジー小説におけるフェミニズムの系譜についての覚書

修士課程にいた頃に読んだ小谷真理『ファンタジーの冒険』(ちくま新書、1998)を久しぶりに読み返してみた。小谷によると現代に通じるファンタジー(近代以前の妖精譚や怪談ではなく、小説家の書いた作品としてのファンタジー)の萌芽は19世紀なかばの...
育児

三和稲城店2階という奇跡への謝辞

近所の総合スーパーの2階、雑貨・家電売り場が閉鎖されてそろそろ2ヶ月。会社のウェブサイトには売り場閉鎖とある。店内には改装中という張り紙があるが、何かをしている気配は無い。あそこは息子が1歳の時から三日と開けず通い続けた場所で、玩具も雑貨も...
評論

公立中なんてものは公園や公民館と同じくらいのユルさであるべきと思う

稲城五中の1年生向けのプリント。2019年度の1年B組の担任が一生懸命とかリスペクトとかいうフレーズを気に入っているようで、中学校から流れてくる文書のそこかしこで見かける。彼個人がそういう価値観を重視しているのは個人の趣味に属することなので...