書評・読書記録

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涼元悠一『青猫の街』書評

今日はキャンプ用折りたたみ椅子を2脚、本革に張り替えて、少し昼寝をして、本を1冊読みました。涼元悠一『青猫の街』(新潮社、1998)1998年の日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作です。この年の大賞は山之口洋の『オルガニスト』。当時は今...
インターネット文化

国産ファンタジーに頻出する「常備軍としての騎士団」という矛盾がちょっとつらい

国産ファンタジーに頻出するのが、常備軍としての騎士団という存在だ。まいどまいど俎上に載せて申し訳ないが、「グイン・サーガ」でも多くの国家が首都に常備軍としての騎士団を駐屯させている。近年のウェブ小説でも、常備軍としての騎士団という組織は見つ...
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グイン・サーガの便衣兵

国産ファンタジーではかなり古い(でもまだ続いている)グイン・サーガ。主人公グインの国、ケイロニアの首都の人口が300万人とかいう凄い設定なんですが(歴史上、初めて人口300万人を越えた都市は19世紀末のロンドンで、近世以前はバグダッドとかイ...
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劇団 江戸間十畳 本公演VOL.10 宮益坂演劇祭り「岸田國士集」

教え子の舞台見てきました。今回は業界人向けのショーケース公演という意味合いも強いそうで、當瀬このみの芸の幅を積極的にアピールする感じの演技。公演の後は、本当に久しぶりに一緒に食事に行って(たしか青年座の卒業公演直前にマクドナルドでメシをおご...
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『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』を見てきた

夏休みの東映特撮映画セットを今年も見て参りました。一番楽しみだったのは、仮面ライダーからスーパー戦隊に移った上堀内佳寿也監督が、どんな手腕で30分の戦隊映画を作っているか。ジオウの方は「ウォズの裏切り」というプロットをどう使うか。では順に。...
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国立近代美術館「高畑勲展」が予想外に良かった

今日は毎年この時期のお約束、科学技術館の「青少年のための科学の祭典」へ。しかし会場に着いた途端に息子に追い払われたので(「父ちゃんがいると暴れられないから」たあどういうことだ)、お隣の国立近代美術館に行きました。企画展は「高畑勲展」でした。...
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パミラ・カイル・クロスリー『グローバル・ヒストリーとは何か』(岩波書店 2012)を読みながら、ファンタジー世界における社会構造の変化について考えている

パミラ・カイル・クロスリー『グローバル・ヒストリーとは何か』(岩波書店 2012)著者は中国近世史の研究者です。ダートマス大学の先生。歴史学において、特定の国の歴史や、ヨーロッパ史とかアメリカ史のような大陸単位の歴史叙述ではなく、世界全体の...
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国家理性とファンタジー小説

今日は「兵站貴族」4章を最後までアップ。『紋章の歴史』は主人公の家の紋章デザインを考えるための資料です。舞台は近世西ヨーロッパ的な世界ですが、紋章の体系はまだそれほど厳密には設定していません。軍制や騎士の従者の設定(騎士、騎士見習い、歩兵、...