カメハメハ校裁判…続報2

 とりあえず、直ちに原告をカメハメハ校に入学させなければいけないわけではない、という司法判断が下されたようです。現在は、カメハメハ校側から出された再審の請求が通るか通らないかという段階のようですね。これもまた結構な狭き門のようですが・・・・。

 カメハメハ校側は昨日、連邦巡回裁判所に再審請求を提出したそうです。で、9/13までに、再審開始or当初の3人の陪審員からの事情聴取のいずれかが決定されるそうです。

Kamehameha requests rehearing of admissions case | The Honolulu Advertiser | Hawaii's Newspaper
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 ハワイ州の最高法務官は、連邦巡回裁判所に対して、再審が望ましいという意見を提出したとか。抗議デモへの州知事の参加も含めて、ハワイ州当局は一貫してカメハメハ校側につく姿勢を見せていますね。これは現在、連邦上院で審議中のアカカ法案(先住ハワイアンに自治権を付与する法案)に絡んで、先住ハワイアン穏健派を敵に回したくないというような思惑があるのかもしれません。

 アカカ法案を巡っては、先住ハワイアン急進派(アメリカ合衆国によるハワイ併合を不当なものとして、ハワイ国家の完全独立を求める勢力)が取り下げを求めていますから、ここで穏健派まで敵に回してしまっては、せっかく道筋がつきかけている先住ハワイアンの権利問題(アメリカ本土の先住民には与えられている自治権がハワイの先住民には与えられていないという格差問題)のソフトランディング路線が根本的にひっくり返ってしまうわけです。

 現実的に考えて、アメリカ合衆国がハワイ州を手放すなんてことは、アメリカ軍が沖縄から出ていかないのと同じく100%有り得ませんから(中国が台湾への軍事圧力を増し、北朝鮮はいつまでたっても駄々をこねているという現状では、そんな法案は絶対に議会を通らないし、大統領が署名しないでしょう)、長期的に見れば、先住ハワイアンの権利問題の落としどころは自治権付与、そして先住ハワイアンがハオレに不当に騙し取られた土地の返還という道筋を辿る以外に無いと思います。とすれば、アカカ法案不成立は政治プロセスの大幅な巻き戻しでしかありません。

 この大事な時期にカメハメハ校をつつくなんて、なんてことをしてくれたんだというのが、州当局の本音ではないでしょうか。

 ちなみに、ナイノアさんのコメント「今や先住ハワイアン同士で論争をしている場合ではない。我々は団結しなければいけない。」が如実に示すように、ここでなお穏健派と急進派に分かれて争っていては、各個撃破の憂き目を見るのが明らかですから、先住ハワイアン・コミュニティはアカカ法案への立場を越えて団結の動きを見せているようです。

 ハワイ州当局が願っているシナリオは、再審によるカメハメハ校側の勝訴、アカカ法案成立、先住ハワイアン急進派への多少の政治的譲歩(土地問題解決へのテコ入れなど)で州内をまとめて目出度し目出度しという流れのような気がします。カカアコに大規模なハワイ文化センターを建設するというプランも、先住ハワイアン・コミュニティからアカカ法案で譲歩を引き出す為の一手でしょう。なんてったってハワイ文化センターに先住ハワイアン自治政府の事務所を入れるというんですからね。

 なお、この問題について私自身は傍観者でしか無いわけですが、あるデモの参加者が語ったというコメント「あと20年、待って欲しい。そうすれば、カメハメハ校は全ての人間に門戸を開くことが出来るだろう。」というのが、一番共感できました。

 たしかにカメハメハ校は先住ハワイアンの権利回復・地位向上運動の象徴でもあるわけですが、先住ハワイアンがこのまま永遠に権利を回復できず、地位が向上しないというのは、それはそれで良いことではありません。だから、あと20年かけてその目的を果たす。その後は、先住ハワイアン文化をリスペクトする全ての人間に門戸を開いて、先住ハワイアン文化の精髄を学んでもらい、その価値を広めていってもらう。

 先住ハワイアンにとって、それはおそらくベストの戦略でしょう。

 やはり私はカメハメハ校を支持したいと思います。