これまでハワイのカヌーというと、一にOC-1やOC-4、OC-6のような近代的なスポーツ用アウトリガー・カヌー、あるいはホクレア号のような遠洋型の航海カヌーの話ばかりしてきたのですが、それ以外のカヌーも色々とあるようで、例えば小型の双胴帆走カヌーを使って教育を行っている学校の話も紹介しましたよね。
今日紹介するのは、シングル・アウトリガー・タイプの帆走カヌーの話題。
現地では単に帆走カヌーsailing canoeと呼んでいるようですが、まずはこれを見てください。
これは、Hawaiian Sailing Canoe Association、略してHSCAという団体が今年6月に行った、帆走カヌー・レースの模様です。見たところ、グラスファイバーの船体にスプレー・カバーを付けたシングル・アウトリガー・カヌーで、それにお約束のクラブクロウ型セイルが張ってありますね。全長はミクロネシアの航海カヌーとあまり変わらない感じですが、ハワイの帆走カヌーはパドリングが前提の設計になっていて、つまり航海ではなくてスポーツ用のカヌーということです。OC-4の発展型なんでしょうか。そういえば湘南あたりでは、日本のアウトリガー・カヌー・チームもハワイ式アウトリガー・カヌーに帆を張ったりカイトセイルを使ったりしているらしいですね。それも、HSCAの帆走カヌーと同じ流れなのかな。
それでは、次にこちらの画像をご覧下さい。
上半分のサムネイルには、お馴染みのあの方のお顔がいっぱい写ってますね。ナイノア・トンプソン氏。やはりというか、帆走カヌーの世界でもちょっとした顔のようです。
それで、一番面白かったのは、これ。
ページの真ん中らへんに、なんだか奇妙な物体が写っていますでしょ。ハクション大魔王が入っている壺みたいな。説明によれば、これは「ラアマオマオの風の瓢箪The Wind Gourd of La'amaomao」なのだそうです。「ラアマオマオの風の瓢箪」というのはハワイ諸島に伝わる伝説の一つで、風の女神ラアマオマオの子孫であるパカアPaka'aとクアパカアKuapaka'aが、ラアマオマオの骨を封じた魔法の瓢箪を使って、風を自由に操り、敵を倒したというお話。
風を操る魔法の瓢箪といえば、このウェブログをずっと読んでおられる方なら、ピンと来るものがありますね。そう、以前「好天直の伝説」という記事で紹介した、ハヴァイロア号をタヒチまであっという間に連れて行ったという魔法の瓢箪。
この記事では、ハヴァイロア号がタヒチに着いた後、魔法の瓢箪の行方は知れないと書きましたが、どうやら最近になってハワイに持ち帰った人物がいるようです。
この写真に付けられたキャプションによれば、テッド・ブレークなる人物がタヒチから「ラアマオマオの風の瓢箪」を持ち帰って、HSCAの競技会で使うトロフィーにした由。この「ラアマオマオの風の瓢箪」が、ハヴァイロア号の船上にあったものなのかは、この記事からは確定できませんが、ともかくそれが「ハワイからタヒチに渡ったものであること」「風を操る魔力を秘めていると考えられていること」から考えて、その可能性は高いと言わざるを得ません。
ということは、日本のカヌークラブがHSCAの大会に出て勝ったら、「ラアマオマオの風の瓢箪」を日本に持ち帰ることが出来るんでしょうか?