6月17日のシンポジウム

 横浜でホクレアが出航した後に(笑)開催されるシンポジウムですが、これはホクレアが1月から足掛け半年に渡って航海してきた足跡を思い起こしつつ、じゃあ日本で私らは何すれば良いのってことを、のんびりと考えようぜという趣旨のイベントです。現在の出席予定者は林和代さん、石川直樹さん、内野加奈子さん、荒木汰久治さん、拓海広志さん、藤崎達也さんの6人(阿部先生は所用により欠席となりました)。

 林さんにはサタワル島の航海術の現状と今後の展望を、石川さんにはホクレアや航海術に触れてハートに火が着いたその後の生き方の心得を、内野さんには普段大航海をしていない時のホクレアはハワイで何をしているのか、荒木さんには糸満の航海カヌー「海人丸」の活動について、拓海さんは1990年代にヤップ島で行われた航海カヌー文化復興運動の顛末を、藤崎さんにはアイヌのカヌー復元活動の現状をそれぞれ紹介していただきます。

 そして最後は皆さんで討論。ホクレアがこうやって来て、帰っていった後、日本には何が残されたのか。何を残していくべきなのか。その為には「具体的にかつ現実的にそして持続的に」、私たち個人個人は何をしたら良いのか。それを出来るだけ難しい言葉を使わずに考えたいなと。

 例えばですね。ナイノアさんはホクレアによってハワイの子供たちが「自分たちはどこから来たのか、どこへ行くのか」を実感出来るとおっしゃっています。じゃあ日本でも航海カヌーを一発造ればそうなるのか? たしかに航海カヌーや伝統カヌーによって何かが生まれる場所・地域もあるでしょう。それが荒木さんの活動している南西諸島であったり、藤崎さんとアイヌの方々が活動している北海道です。でも、日本って広いですから、群馬の山の中に住んでいる人が航海カヌーじゃないですよね、多分。

 あるいは、ハワイという人口100万人と四国程度の面積しか無い空間のマイノリティである先住ハワイアンと、フランスより広い国土に1億2000万人住んでいて、その大半はマイノリティではない日本人では、エスニック・アイデンティティの確立への切実感や必要性だってちょっと違うと思います。

 そういう、日本独特の事情を斟酌しつつ、私らに出来ることって何ということを考えましょうという地味なシンポジウムなのですが・・・・。こういった地味な話に興味がある方のご来場をお待ちしております。

 具体的な内容が確定したら、もう少し詳しいお知らせが公式ウェブサイトにも出ると思います。