面白いことに気付きました。クライヴ・ステープルズ・ルイスって1963年に死んでいるんですね。ということは、「ナルニア年代記」の日本国内での著作権は2013年で切れるのか。
いえね、半年くらい前に、久しぶりに「ナルニア国ものがたり」を読んでみたのですけれども、流石に瀬田訳は賞味期限切れだろうと痛感したんですよ。申し訳無いけど古すぎる。今の子供の感性に合うのだろうか。歴史的意義は認めますけれども。
あのシリーズは息子にも読ませたいんですけれども、瀬田訳ではどうかなあ。翻訳家として、何かやだ。特にピーター、スーザン、エドムンド、ルーシーの造形が・・・・。瀬田訳は要するに原著のイングランドの子供たちを、近代日本の山の手の中流家庭の子供たちに移し替えて訳しているような気がするんですよ。あのしゃべり方とかね。その時点で私に言わせれば創作入ってるわけで、だったら日本語訳の四人兄弟姉妹は別の造形で訳したって瀬田訳とレイヤー的には同じでしょう。
だったら息子専用に自分で全訳しちゃえば良いじゃないか。
何て無茶な、いや、ナイスなアイデア。早速図書館で原著をパラパラっと見てきたんですが、簡単な文章ですし、スラスラと訳文が出てくる予感。瀬田訳では妙に嫌なキャラとして訳されていたスーザンとエドムンド(きっと瀬田さんはあの二人があまり好きじゃなかったはず)も、自分で訳してしまえばもっと別の解釈が出来るでしょうしね。
どうせ自家消費するんだったら、あの説教臭いディテールも修正しちまうか。『最後のたたかい』のラストなんか、キリスト教臭強すぎでしょう。私だったら確実にガキどもは現世に送り返して大団円ですね。悪役の造形が平板なのもあのシリーズの難点ですけども、マラテスタ師匠みたいなのが出てこないとつまらないですよ、ええ。
暇な翻訳家の夢は広がるなあ。
ついでに調べてみたら、『指輪物語』の日本国内著作権は2023年。「ナルニア」の10年後。まあ、あちらは確実に新訳が乱立するでしょうからね。あまり思い入れも無いし、おまかせします。