ロニー・ジェームス・ディオがDIOを結成した当初のメンバーの給料は週給100ドル、HOLY DIVERのツアー時で400ドルで、SACRED HEARTの時でもバンドメンバーより照明やPAの給料の方が高かったという。ロニーはアルバム3枚作ったらバンドの収入を4人で等分するという口約束をしていたが、結局反故にした。
それについてヴィヴィアン・キャンベルが文句を言うと、ロニーはヴィヴィアンをクビにしてクレイグ・ゴールディに入れ替えた。
典型的なワンマン社長のやり口なんだが、クビになったヴィヴィアンはホワイトスネイクを経てディオより遥かに遥かに遥かに高待遇のデフ・レパードに正式加入。
一方のディオはヴィヴィアンをクビにしたことで一気に失速(アルバム売上が10分の1に)して二度と回復せず。
(これについてはDIOのオリジナルメンバーだったヴィニー・アピスとジミー・ベインもヴィヴィアン・キャンベルを擁護してロニー・ジェームス・ディオのバンド運営は間違っていたと断言)
メタルファンとしては一番良い世界線は「ロニーがちゃんと約束を守ってヴィヴィアン・キャンベルがディオに残留し、スティーブ・クラークが死ななかった」という展開ではあるが。
クレイグ・ゴールディは悪いギタリストではないけれど、ヴィヴィアン・キャンベルは作曲能力、リフのセンス、ソロのセンス、もちろん演奏技術にコーラス能力と全て揃ったAAA級の人材。
(クレイグ・ゴールディはソロではタッピングを多用するのだが、メロディアスなメタルが売りのDIOでゲイリー・ムーアの上位互換的なヴィヴィアン・キャンベルとエディ・ヴァン・ヘイレンの影響が強いクレイグ・ゴールディのどっちが合うかはすぐにわかるはず)
せっかく爆才能の若者を引き当てたのにギャラをケチって流出させたのは愚かだった。
ちなみにヴィヴィアン・キャンベルがDIOの次に仕事をしたホワイトスネイクのデヴィッド・カヴァーデイルも子飼いのエイドリアン・ヴァンデンバーグを重用してヴィヴィアン・キャンベルを流出させ(後任がスティーヴ・ヴァイで案の定全然合わずにバンド失速展開)、以降は有名ギタリストをとっかえひっかえしてツアーをするだけのバンドになってしまった。
(後にホワイトスネイクはデフ・レパードの前座でツアーに参加もしているが、ヴィヴィアン・キャンベルは「ホワイトスネイク? 僕のキャリアとは思っていませんね」と冷たいコメント)
・約束は(口約束でも)守ろう
・一流クリエイター(クレイグ・ゴールディやエイドリアン・ヴァンデンバーグ)と超一流クリエイター(ヴィヴィアン・キャンベル)の弁別は死活問題。デフ・レパードは賢かった。