このウェブログのタイトルを「航海カヌーを愛でる」に変更しました。
本体のウェブサイト(http://www.geocities.jp/hokulea2006/)の方のタイトルはとりあえずそのままですが。
タイトル変更の理由は、色々と勉強して来た中で、ホクレア号という船が、リモート・オセアニアの航海カヌー文化復興運動の中で極めて重要な船ではあっても、それはやはり最初の1艘でもないし、それが無ければ航海カヌー文化復興運動が始まらなかったわけでもないんじゃないか。とすると、あまりホクレア号に拘っていく必要も無いんじゃないか、と思えてきたからです。むしろホクレア号というものに焦点が当たりすぎていて、他の船、他の土地の実践が見えにくくなっているのではないかという気がします。
航海カヌー文化研究について言えば、ベン・フィニーが東ポリネシアを研究しているのに対して、それより以前にデヴィッド・ルイスが西ポリネシアやミクロネシアに焦点を当てた研究をしていましたし、伝統航海士だってタウマコ島のテヴァケ師やラロトンガのフランシス・コーワン師という、ポリネシアのオーソドックスな伝統航海術により近い技術を伝えていた人々が居ます。
伝統的航海カヌーの復元活動もポリネシアという範囲を超えてミクロネシアや東南アジア島嶼部に広がっているし、同様に、伝統的な海洋文化を復元航海を通して学んでいこうという実践は世界各地にある(例えばティム・セヴェリンの一連の航海やスペインのナオ・ビクトリア号。この夏に有明海を船出して河内へと向かう「海王」号)。そして、そうした個々の活動は、それぞれの土地固有の事情と切り結びながら、おそらくは同じ方向を目指しています。ベン・フィニーが簡潔にまとめた通りです。
「未来の課題にいかに対処していくのかを、過去の叡智に学ぶ。」
というわけで、もちろん、ホクレア号が日本に来るというのであればそれは全力で応援しますけれども、このウェブログとしてはホクレア号もまたリモート・オセアニアの航海カヌー群の1艘であり、リモート・オセアニアの航海カヌー群は、それぞれが全てユニークであって、同等に注目に値するというスタンスを取っていきたいと思います。
それでは、今後ともよろしく。
明日はまた面白い本を紹介しますよ。