北山耕平さんが『星の航海術をもとめて』の書評を書いてくださいました

 実は同窓の大先輩でもある北山耕平さんが『星の航海術をもとめて』の書評を書いてくださいました。
http://native.way-nifty.com/native_heart/2006/10/post_c94a.html

 北山さんの指摘する通り、ナイノア・トンプソンは既に20年以上もウェイファインディングの学びを続けてこられたわけで、マウ老師も認める本物の航海者になっていることでしょう(実際、マウ老師はナイノア氏を自らの弟子の中でも特に優秀な男だったと語っておられるそうです)。

 実はこの「あと20年かかる」というのは、サタワルの航法師の育成でも同じなのですね。ポゥの儀式は主に航法師たるべき人間が、航法師が知っておかなければならない知識を身につけているかを確かめるもので、実際に儀式では導師が航法師候補に口頭試問を行います。航法師候補はこの口頭試問に合格してはじめて一人前の航法師パルゥとなる。

 しかしこれはあくまでも最低限の資格を与えられたというだけに過ぎません。サタワルやプルワットでは、若いパルゥがその後も航海の経験を積んでいってやはり二十年ほど経った頃に、やっと本物の航海者として認められるのです。

 そう考えると、ハワイでも「本物の航海者」は1985-87年のアオテアロア往還航海に参加したウェイファインダーまでということになるんですね。その後の世代はまだ学びの途中。

 あと20と数年後、日本にも本物のウェイファインダーは現れているでしょうか。現れていると良いなあ。荒木汰久治さん(来年の日本航海でのホクレア搭乗が決まったそうです。他に内田正洋さんと内野かなこさんが正式決定だとか)があと20年間航海を続ければ、きっとそうなっていることでしょうが。しかし航海は英雄的な個人の力だけでは不可能です。社会がそれを応援し続けなければいけない。

 ホクレアの日本航海が、本物のウェイファインダーを誕生させる為には何が必要なのかを教えてくれるものになることを願っています。