今回からKDPだけでの配信です(BCCKSのフリープランが上限に達した)。
収録されているのは中編2本。
「叙任式」はシリーズ全体でも二番目、「竜がいない国」の次に書いたものです。たしかエブリスタに出したバージョンが最初です。それから何度か改稿を重ねて、この電書版では彼がイスベル子爵から与えられた剣の由来も詳しく書き込んでいます。
「詩戦」は二〇二〇年の初夏、新型コロナのパンデミックで皆さんが家から出られないときに、やはりエブリスタに出したものが最初ですね。こちらも何度か改稿してきましたが、今回が一番大きな改稿です。といっても詩戦の舞台を銀陽亭からマハラビエ侯爵家ゼルワ本邸に移した程度ですが。
表紙はファイスです。モディーチェリ戦争で市門を突破する直前、チェレク連隊第八中隊の方陣三列目で待機しているところです。通常、接敵する瞬間の最前三列は古参兵だけで固めるイェビ=ジェミですが、この時は何故かファイスを入れています。おそらくこれがファイスにとって最初で最後の槍兵としての戦いになるとわかっていて、ファイスの父ルムディンがトゥーバの戦いで入っていた場所にファイスを入れたのだと思います。

作中の時間の流れで言えばどちらのエピソードも帝国歴一五六一年の前半で、詩戦が終わった翌月にはリムはダナエに移って鬼畜先生の秘書になります(「天頂環」)。一〇月にはファイスがウアラプエ港で再会します(「アレチノギク」)。翌一五六二年の六月にリムが角笛学寮に勝負を挑み「天頂環」)、同じ月にオトとアリュがマハラビエ侯爵家ゼルワ本邸で出会います(「計算職人」)。
現在のノベプラ連載最新エピソードは一五六三年八月のマレブが舞台になった「大図書館」です。
ちなみに現在書いている「歌のはじまり」は帝国歴四〇〇年代後半のタンボラ王国第五王朝を舞台に、双子の王子サイナブオールとアタルテアが「山の姉妹」の一人パルセノイと出会い、第二王朝時代から宮廷の裏側で続く陰謀を暴くエピソードです。このエピソードの最後にアタルテアとパルセノイはタンボラ王国を出てアレバ山を探す旅に出ます。二人の遠い遠い子孫がブレイということになります。サイナブオールの子孫がウィルナです。
南方山地が舞台になる長編エピソードは初めてなので、色々と細かい設定を作りながら書き進めています。「双剣」時代(帝国歴一五四〇年から一五七七年。オジョルニの戦いからアルソウム継承戦争終結まで)以外のエピソードを書くのは初めてですが、難しくもあり楽しくもあり、といったところですね。
「歌のはじまり」が書き終わったらまた電書の8巻「アレチノギク」の作業をして、それからちょっと軽めの短編を書きたいですね。主人公はサスキラフが良いなあと思ってます。リュセ・カルム王子の諸国漫遊のエピソードも書きたいし。今年どれだけ本業が忙しいか次第ですが、楽しく頑張ります。



