書き下ろし アルソウムの双剣外伝「歌のはじまり」冒頭試し読み 第一章「パルセノイ 一」

 しばらくノベプラを更新していないのですが、ずっと書いてます。次の電書向けの書き下ろし中編・・・・のつもりだったんですが、中編じゃ済まない気がしてきました。

 物語の舞台は初めて南方山地に入ります。これまで散々物語の舞台となったアバルサ王国を南北に流れるディエブ川。今まではレナとチェレクの間ばかり出てきましたが、あれを南に遡っていくと、ウィバノルという町で川は二つに分かれます。東側が本流で、西から流れ込む大きな支流がデイル川。このデイル川を更に南に向かうとタンボラ盆地というまあまあ大きな(甲府盆地くらいの)盆地に出ます。

「大図書館」でこんな会話がありましたね。

「リムさんがさっき話してくれましたよね。ルキベンクの記録が最初に現れたのがラウテルのネズミ捕りの話だったって」
「うん」
「そして一一〇〇年代には同種の事件の記録が無く、一二五八年にウィバノル。レナからディエブ川沿いにクンビア街道を南に向かって二日くらいのとこですね。ディエブ川本流とデイル川が分かれる地点。東に本流を遡ると二日でアルメル」
「大学があるとこですね」
「大公宮殿もありますよ。クンビア大公国の公都なので。ウィバノルから西にデイル川を辿ると二日でケルヌー。タンボラ親王家の本拠地ですね」
「ウィバノルってなんか年代記に出てきませんでした?」
「レナの戦いで負けて落ち延びたアンツィラバ一行がここでキルアンジ王の追手に追いつかれるんですが、村人に匿われて無事に逃げ出したという逸話ですね。アンツィラバはデイル川をサムトまで逃げてそこから西に南方山地を横断して大ヤムスクロ湖に出ます。一方、キルアンジ王の追手はディエブ川本流を遡ってしまってアンツィラバを取り逃がします。戯曲にもなってますよ。「ウィバノルの魔法使い」」

 今回の舞台はこのタンボラ盆地。時代は「大図書館」の1082年前。タンボラ第五王朝の双子の王子、サイナブオールとアタルテアが「山の姉妹」の一人、パルセノイと出会い、そしてアタルテアがパルセノイとともにタンボラ王国を去るところまでを語ります。

 今回初めて、視点人物をマルチにする書き方に挑戦しています。パルセノイ、サイナブオール、アタルテアの三人の目で、タンボラ第二王朝の「六月の乱」に端を発する陰惨な因習と、それを三人が終わらせるまでを描く予定です。

 パルセノイは後の時代に「山の女神」とされているだけあって、生身の時代も凄まじい能力値を持っています。ブレイと同等の遠隔索敵能力+イェビ=ジェミと同等の隠密行動能力+弓矢での遠距離攻撃能力。めちゃくちゃ強い。サイナブオールは超頼れるアニキです。ゲームの三国志だったら政治力・知力・魅力・統率・武力が全部95以上あるみたいな。そしてアタルテアは・・・・

 冒頭試し読みです。本編は電書でしか出しませんが、こんな世界観ですよというサンプルで。